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自動思考と感情の関係は?気分が変わる流れを解説

記事のサマリ

自動思考とは、ある出来事に出会ったときにとっさに浮かぶ考えのことで、その考えがわたしたちの感情に大きく影響しています。同じ出来事でも、浮かんだ考えが違えば、わきあがる気分も変わってきます。落ち込みやイライラなどの感情に気づき、その手前でどんな考えが浮かんでいたかをたどっていくと、自分の受け取り方が見えやすくなります。感情はよい・悪いで分けるものではなく、自分の状態を知らせてくれる手がかりです。つらさが強いときは、専門機関への相談も大切にしてください。

なぜか急に落ち込んだり、イライラしたりして、自分でも理由がよくわからないことはありませんか。じつは感情の手前には、とっさに浮かぶ「自動思考」が隠れていることが多くあります。この記事では、自動思考と感情がどうつながっているのか、そして気分が変わっていく流れを、具体例とともにていねいに整理していきます。

この記事で整理できること

  • 自動思考と感情がつながる基本的な仕組み
  • 同じ出来事でも気分が違ってくる理由
  • 感情に名前をつけることの大切さ
  • 感情を手がかりに自動思考を見つける流れ
  • 気づいた考えと感情の整理の仕方
  • セルフケアとして取り入れるときの注意点

自動思考と感情は、どうつながっている?

自動思考とは、ある出来事に出会ったときに、頭の中でとっさに浮かぶ考えのことです。意識して考えようとしなくても、自然とわきあがってくるため「自動」と呼ばれます。

そして、この自動思考は、わたしたちの感情に大きく影響しています。たとえば、誰かに挨拶したのに返事がなかったとき、「無視された」という考えが浮かべば寂しさや不安が、「聞こえなかったのかな」という考えが浮かべば落ち着いた気持ちが続きます。つまり、感情を直接つくり出しているのは、出来事そのものよりも、その手前で浮かんだ考えのほうだと考えられています。

この流れに気づけると、「自分はなぜこの気分になったのか」をたどる手がかりが見えてきます。

理解を深める:自動思考とは?

同じ出来事でも、気分が違うのはなぜ?

同じ出来事でも、人によって、またそのときの状態によって、わきあがる気分は変わります。それは、出来事と感情のあいだに「受け取り方(自動思考)」がはさまっているからです。

たとえば、「会議で自分の意見に質問された」という同じ出来事を考えてみましょう。

出来事浮かんだ自動思考わきあがる感情
会議で意見に質問された否定された、責められている不安・落ち込み
会議で意見に質問された興味を持ってもらえた安心・うれしさ
会議で意見に質問された説明が足りなかったかも焦り・少しの後悔

出来事はまったく同じなのに、浮かんだ考えしだいで、感じる気持ちはこれほど変わります。気分を大きく左右しているのは、出来事ではなく受け取り方だということが、この表からも見えてきます。だからこそ、自分の受け取り方に気づくことが、気持ちを扱う第一歩になります。

感情に名前をつけると、何がいい?

自分の受け取り方をたどるとき、最初の手がかりになるのが「感情」です。ところが、つらいときほど「なんだかしんどい」とひとまとめになりやすく、自分が何を感じているのか、ぼんやりしてしまうことがあります。

そこで役立つのが、感情に名前をつけてみることです。「不安」「さみしさ」「いらだち」「がっかり」など、近そうな言葉を当てはめてみるだけで、自分の状態が少し見えやすくなります。

名前がつくと、気持ちと自分のあいだに少し距離が生まれ、「いま自分は不安を感じているんだな」と一歩引いて眺めやすくなります。うまく当てはまらないときは、「強さ」を0〜100でざっくり数えてみるのも、状態をつかむ手がかりになります。

感情を手がかりに、自動思考を探すには?

感情に名前をつけられたら、次は、その感情の手前でどんな考えが浮かんでいたかをたどってみます。順番としては、次のような流れになります。

  1. 気分が動いた場面を思い出す — いつ、どこで、何があったか
  2. 感情に名前をつける — そのとき何を、どのくらい感じたか
  3. 手前の考えを探す — 「そのとき、頭に何が浮かんだか」と問いかける

感情は、自動思考を見つけるための入り口です。「強い気持ちがわいたな」と気づいたら、それを責めるのではなく、「この気持ちの手前に、どんな考えがあったんだろう」とたどってみてください。

気づいた考えと感情は、どう整理する?

浮かんだ考えと感情に気づけたら、頭の中だけで抱えず、書き出して整理してみると扱いやすくなります。「出来事 → 自動思考 → 感情」という流れに分けて並べるだけでも、ぐるぐるしていた気持ちが、ぐっと見やすくなります。

出来事自動思考感情(強さ)
返信が来ない嫌われたかも不安(70)
予定が変更になった軽く扱われているいらだち(50)

こうして並べてみると、「出来事に直接反応していたわけではなく、自分の受け取り方に反応していたんだ」と気づけることがあります。書き出す方法は、思考記録表を使うと、決まった形でていねいに練習できます。認知行動療法の考え方の基礎は、国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センターでも解説されています。

取り入れるときに気をつけたいことは?

最後に、セルフケアとして取り入れるときに心にとめておきたいことをお伝えします。

  • 感情を「なくす」ことを目的にしない(気づいて手がかりにするもの)
  • 自動思考が見つからなくても、自分を責めない
  • 順番や正確さにこだわりすぎず、近そうなところから書いてみる
  • 強い感情を無理に掘り起こそうとしない

感情も自動思考も、自分を追い込むためではなく、自分の状態を知ってラクにするための手がかりです。働く人向けには、厚生労働省のポータルサイトこころの耳でも、セルフケアの教材が提供されています。気持ちのつらさが強い・長く続くと感じるときは、一人で抱えこまず、専門機関への相談も大切にしてください。

よくある質問

自動思考と感情は、どちらが先に起こるのですか?
多くの場合、出来事に対してとっさに浮かぶ自動思考が先にあり、それに続いて感情がわきあがると考えられています。ただ、実際にはとても速く起こるため、考えと感情がほぼ同時に感じられることもあります。順番を正確に当てることよりも、「この感情の手前にどんな考えがあったかな」とたどってみる姿勢が役立ちます。
感情には、よい感情と悪い感情があるのでしょうか?
感情そのものに、よい・悪いはありません。不安や落ち込みのようなつらい感情にも、自分を守ったり、大切なことに気づかせたりする役割があります。なくすべきものとしてではなく、自分の状態を知らせてくれる手がかりとして受け取ると、扱いやすくなります。
感情に名前をつけるのが、うまくできません。
最初は「なんとなくモヤモヤする」くらいでも十分です。少しずつ「不安かな」「がっかりしたのかも」と当てはめていくうちに、だんだん見分けやすくなります。正確さを求めすぎず、近そうな言葉を選んでみるところから始めて問題ありません。

次にできること

参考・出典

  1. 国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター
  2. 厚生労働省 こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト

※ 本記事はセルフケア・教育を目的とした情報であり、特定の疾患の診断・治療を目的としたものではありません。つらさが強い・長く続く場合は、無理をせず医療機関や専門家への相談もご検討ください。