まとめ記事

認知行動療法のワークには何がある?自分でできる実践方法を紹介

記事のサマリ

認知行動療法のワークには、大きく分けて「考えを整理する」「行動から整える」「見方を広げる」という3つの方向性があります。代表的なものに、考えを書き出して整理するコラム法や思考記録表、小さな行動から気分を整えていく行動活性化、ものごとの受け取り方の選択肢を増やすリフレーミングなどがあります。どれも自分でできるセルフケアとして取り入れられますが、つらさが強いときは専門機関への相談も大切です。

「認知行動療法に興味はあるけれど、実際に何をすればいいの?」と感じていませんか。じつは認知行動療法には、目的に合わせていくつかのワーク(取り組み方)があります。この記事では、自分でできる代表的なワークを、それぞれの特徴と選び方・続け方とあわせて、はじめての方にもわかるようにていねいに整理していきます。

この記事で整理できること

  • 認知行動療法のワークは大きく3つの方向性に分けられる
  • 考えを整理するワーク(コラム法・思考記録表)の特徴
  • 行動から整えるワーク(行動活性化)の考え方
  • 見方を広げるワーク(リフレーミング・セルフモニタリング)の役割
  • 自分に合うワークの選び方
  • 無理なく続けるためのコツ

認知行動療法のワークには、どんな種類がある?

大きく分けると、認知行動療法のワークには「考えを整理する」「行動から整える」「見方を広げる」という3つの方向性があります。

どれも、つらさを無理に消そうとするものではなく、いまの自分の状態をていねいに眺めて、扱いやすくしていくための取り組みです。頭の中がぐるぐるして整理したいとき、気分が落ち込んで動けないとき、同じ見方から抜け出せないとき——状況によって、合うワークは変わってきます。

この記事では、それぞれの方向性ごとに代表的なワークを軽く紹介し、詳しく学べる記事へご案内します。まずは認知行動療法そのものの考え方を知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください。

理解を深める:認知行動療法とは?

考えを整理するワークとは?

頭の中で考えがぐるぐるしているときに役立つのが、考えを書き出して整理するワークです。

代表的なものがコラム法です。落ち込んだ出来事と、そのときに浮かんだ考え(自動思考)、気分などを、いくつかの枠(コラム)に分けて書き出していきます。書くことで、頭の中だけでは絡まっていた考えが、少しずつほどけて見えてきます。

ワーク何をする?向いている場面
コラム法出来事・考え・気分を枠に分けて書く考えが整理できないとき
思考記録表日々の考えと気分を記録していく自分のパターンを知りたいとき

もうひとつの思考記録表は、日々の考えと気分を記録していくことで、自分がどんな場面で揺れやすいかのパターンに気づきやすくするワークです。どちらも紙やアプリで気軽に始められます。

詳しく知る:コラム法とは?考え方を整理する基本ワーク思考記録表とは?書き方・記入例・テンプレート

行動から整えるワークとは?

気分が落ち込んで動けないときには、考えからではなく行動から整えていくという方向性があります。これを行動活性化と呼びます。

落ち込んでいるときは、つい活動を減らしてしまい、そのことでさらに気分が沈む、という悪循環が起こりがちです。行動活性化では、無理のない範囲で「やってみると少し気分が動く小さな行動」を生活のなかに増やしていきます。

ポイントは、やる気が出てから動くのではなく、小さく動いてみることで気分があとからついてくる、という順番です。散歩する、好きな飲み物を入れる、短い連絡をしてみる——そんな小さな一歩から始められます。考えを整理するのがむずかしいと感じるときの、もうひとつの入り口になります。

見方を広げるワークとは?

ひとつの受け取り方にとらわれてしまうときに役立つのが、見方を広げるワークです。

代表的なのがリフレーミングです。同じ出来事でも、別の枠組み(フレーム)から眺めてみることで、これまで見えていなかった側面に気づきやすくなります。「考えを変える」というよりも、見方の選択肢を増やすイメージです。

あわせて、自分の気分や考え、行動を日々ていねいに観察するセルフモニタリングもあります。記録を続けるうちに、「こういう場面で揺れやすい」といった自分の傾向が見えてきます。観察することそのものが、自分の状態を扱いやすくする第一歩になります。

こうした見方のクセに気づくための補助として、無料のワークシートを使う方法もあります。

認知の歪みチェックリストを使う(無料ワークシート)

自分に合うワークは、どう選べばいい?

たくさんのワークがあると、どれを選べばよいか迷ってしまうかもしれません。選ぶときの目安は、いまの自分の状態に合っているかです。

  • 頭の中がぐるぐるして整理したい → 考えを整理するワーク(コラム法・思考記録表)
  • 気分が落ち込んで動けない → 行動から整えるワーク(行動活性化)
  • 同じ見方から抜け出せない → 見方を広げるワーク(リフレーミング・セルフモニタリング)

最初から「正解」を選ぶ必要はありません。試してみて合わないと感じたら、別のワークに切り替えても大丈夫です。いくつか試すなかで、自分にしっくりくるものが見つかっていきます。

なお、認知行動療法の基礎的な解説は、日本初の認知行動療法専門の研究機関である国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センターでも公開されています。働く人向けには、厚生労働省のポータルサイトこころの耳でも、セルフケアの教材が提供されています。

ワークを無理なく続けるには?

最後に、ワークを続けていくうえで、心にとめておきたいことをお伝えします。

  • 完璧にやろうとしない(書けない日があっても問題ありません)
  • 気になる出来事があったときだけ取り組む、でも十分
  • うまくいかない自分を責めない
  • つらさが強い・長く続くときは、専門機関への相談も大切にする

ワークは、自分を採点するための道具ではなく、自分をラクにするための道具です。「ちゃんとやらなきゃ」と力が入ってしまったら、ひと休みしても大丈夫。やさしいきもちで、自分に合うペースで続けてみてください。

よくある質問

認知行動療法のワークは、どれから始めればいいですか?
決まった順番があるわけではありませんが、まずは自分の考えや気分に気づくことから始める方が多いです。頭の中がぐるぐるしているときは考えを書き出すコラム法、動けないと感じるときは小さな行動から始める行動活性化など、いまの状態に合わせて選ぶと取り組みやすくなります。合わないと感じたら、別のワークに切り替えても問題ありません。
ワークは毎日やらないと意味がないですか?
毎日きちんと続けることが目的ではありません。気になる出来事があったときや、気持ちが揺れたときに書いてみる、という付き合い方でも十分です。完璧を目指すよりも、無理のないペースで少しずつ続けるほうが、考え方に気づく習慣が身につきやすくなります。できない日があっても、自分を責める必要はありません。
ワークシートやアプリは使ったほうがいいですか?
決まった様式に書き込むワークシートは、何をどう書けばよいかの手がかりになるため、はじめての方には取り組みやすい面があります。紙のワークシートでもアプリでも、自分が続けやすい形を選ぶのがよいでしょう。大切なのは道具そのものよりも、自分の考えや気分にていねいに目を向ける時間を持つことです。
ワークをやってもつらさが軽くならないときはどうすればいいですか?
ワークは万能なものではなく、合う・合わないや、取り組むタイミングによる差もあります。つらさが強いときや長く続くとき、一人で抱えきれないと感じるときは、無理に続けようとせず、専門機関に相談することを大切にしてください。一人で取り組むことと、誰かに頼ることは、どちらも大事なセルフケアです。

次にできること

参考・出典

  1. 国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター「認知行動療法とは」
  2. 厚生労働省 こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト

※ 本記事はセルフケア・教育を目的とした情報であり、特定の疾患の診断・治療を目的としたものではありません。つらさが強い・長く続く場合は、無理をせず医療機関や専門家への相談もご検討ください。