認知行動療法とは?意味・やり方・注意点をわかりやすく解説
認知行動療法とは、考え方(認知)・気分・行動のつながりに注目して、ものごとの受け取り方を少しずつ整理していく心理的なアプローチです。気分が落ち込む場面で「自分がどんな見方をしているか」に気づき、別の見方も探すことで、つらさを扱いやすくしていきます。うつや不安などへの効果が研究で確かめられている方法ですが、治療や診断に代わるものではありません。つらさが強いときは、専門機関への相談も大切です。
「考えすぎてしまう」「同じことで何度も落ち込む」。そんなふうに、自分の考え方に疲れてしまうことはありませんか。じつは、考え方には誰にでもある「クセ」があり、その仕組みを少し知るだけで、気持ちが軽くなることがあります。この記事では、認知行動療法の考え方を、はじめての方にもわかるように、ていねいに整理していきます。
この記事で整理できること
- 認知行動療法の基本的な意味と成り立ち
- 考え方・気分・行動がつながる仕組み
- 日常で使うときの具体的なステップ
- 効果が研究されている領域と、できること・できないこと
- セルフケアとして扱うときの注意点
- もっと深く学ぶための次の一歩
認知行動療法とは?
認知行動療法(CBT:Cognitive Behavioral Therapy)は、わたしたちの「考え方(認知)」「気分(感情)」「行動」が、たがいに影響し合っているという見方を出発点にしたアプローチです。
少し意外かもしれませんが、わたしたちの気分は「出来事そのもの」だけで決まっているわけではありません。同じ出来事でも、それをどう受け取るかによって、わきあがる気分も、その後の行動も変わってきます。認知行動療法では、その受け取り方にやさしく気づき、必要に応じて見方を広げることで、つらさを扱いやすくしていきます。
ここで大切にしたいのは、「治す」ことよりも「整理する」ことに重きを置く姿勢です。自分を責めたり、無理に前向きになろうとしたりするのではなく、いまの自分の状態をていねいに眺めて、扱いやすくしていく。それが、セルフケアとしての認知行動療法の特徴です。
考え・気分・行動は、どうつながっている?
たとえば、「送ったメールの返信がなかなか来ない」という同じ出来事を考えてみましょう。受け取り方しだいで、気分も行動もこんなふうに変わります。
| 受け取り方(考え) | わきあがる気分 | 起こりやすい行動 |
|---|---|---|
| 嫌われたのかもしれない | 不安・落ち込み | 連絡を控える、確認できない |
| 忙しいのかもしれない | 落ち着き | あらためて連絡してみる |
出来事は同じなのに、ずいぶん違って見えてきます。このように、気分や行動を大きく左右しているのは「受け取り方」です。だからこそ、その受け取り方に気づけると、気持ちの扱い方が変わっていきます。
認知行動療法では、具体的に何をする?
むずかしそうに聞こえるかもしれませんが、流れはシンプルです。大きく分けると、次の3つを行き来します。
- 気づく — 落ち込んだとき、頭の中にどんな考えが浮かんだかに注目する
- 整理する — その考えが極端になっていないか、別の見方はないかを書き出して整理する
- 試す — 小さな行動や新しい見方を、実際の生活のなかで試してみる
この「気づく・整理する・試す」を、完璧にやろうとせず、日々のなかで少しずつ繰り返していきます。うまくできない日があっても問題ありません。気づこうとしたこと自体が、もう一歩前進です。
どんなときに役立つ? 効果が研究されている領域は?
認知行動療法は、ストレスや不安が強いとき、考えがぐるぐると止まらないとき、気分が落ち込んで動けないときなどに、自分の状態を整理する手がかりになります。
専門的な補足として、認知行動療法は、うつや不安、ストレスへの対処など、さまざまな領域で効果が研究されてきた、エビデンス(科学的根拠)の蓄積があるアプローチでもあります。基礎的な解説は、日本初の認知行動療法専門の研究機関である国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センターでも公開されています。働く人向けには、厚生労働省のポータルサイトこころの耳でも、セルフケアや認知行動変容アプローチの教材が提供されています。
どんな考え方のクセに気づきやすい?
認知行動療法を続けていくと、自分がよく使いがちな「考え方のクセ」が見えてきます。たとえば、次のようなものです。
- 少しの失敗で「全部ダメだった」と感じてしまう(白黒思考)
- 「〜すべき」と自分を追い込んでしまう(べき思考)
- 一度の出来事を「いつもこうだ」と広げてしまう(過度の一般化)
こうしたクセは、性格の問題ではなく、疲れているときやストレスが強いときに誰にでも起こります。まず気づくことが、扱いやすくする第一歩になります。
詳しく知る:認知の歪みとは?10種類の考え方のクセを具体例で解説
認知行動療法と向き合うときの注意点は?
最後に、セルフケアとして取り入れるときに、心にとめておきたいことをお伝えします。
- 病気を「治す」ものとして気負いすぎない
- 考えを無理に変えようとしすぎない(変えるのではなく、選択肢を増やすイメージで)
- うまくいかない自分を責めない
- つらさが強い・長く続くときは、専門機関への相談も大切にする
認知行動療法は、自分を追い込むための道具ではなく、自分をラクにするための道具です。「ちゃんとやらなきゃ」と力が入ってしまったら、それも一つの考え方のクセかもしれません。やさしいきもちで続けてみてください。
よくある質問
認知行動療法は自分一人でもできますか?
効果を感じるまでどのくらいかかりますか?
ネガティブに考えてはいけない、ということですか?
カウンセリングや薬とは違うものですか?
参考・出典
※ 本記事はセルフケア・教育を目的とした情報であり、特定の疾患の診断・治療を目的としたものではありません。つらさが強い・長く続く場合は、無理をせず医療機関や専門家への相談もご検討ください。