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べき思考とは?自分を追い詰めやすい考え方を解説

記事のサマリ

べき思考とは、物事を「〜すべき」「〜でなければならない」という強いルールでとらえ、自分や他人を必要以上に縛りやすい考え方のクセです。基準を高く保てる長所の裏返しでもありますが、強く出ると、できていない部分ばかりが目につき、自分を責めたりイライラしたりしやすくなります。気づいたときは、「べき」を「できたらいい」「〜したい」とやわらかい言葉に置きかえてみると、気持ちが扱いやすくなります。責任感の強い人ほど出やすいクセなので、自分を責める必要はありません。

「もっと早くやるべきだった」「親なら我慢すべきだ」。そんなふうに、頭の中で自分にきびしいルールを課してしまうことはありませんか。これは、まじめで責任感の強い人ほど起こりやすい考え方です。性格が悪いわけでも、心が弱いわけでもありません。この記事では、べき思考の仕組みをていねいに見ながら、無理なくゆるめていくヒントを整理していきます。

この記事で整理できること

  • べき思考の意味と心理的な背景
  • べき思考が起こりやすい場面
  • べき思考が強いと起こりやすいこと
  • べき思考に気づくための視点
  • べき思考をゆるめる具体的な言い換え方
  • 完璧主義との関係と向き合うときの注意点

べき思考とは?

べき思考とは、物事を「〜すべき」「〜でなければならない」「〜して当然だ」と、強いルールでとらえやすい考え方のクセです。専門的には「すべき思考(should statements)」とも呼ばれ、認知行動療法でよく扱われる代表的な考え方のクセの一つです。

このルールそのものは、けっして悪いものではありません。自分に基準を持つことで努力を続けられたり、責任を果たそうとできたりします。ただ、その「べき」が強くなりすぎると、いつのまにか自分をきびしく縛る鎖のようになってしまいます。たとえば「社会人なら残業して当然だ」と思っていると、定時に帰る日にすら罪悪感がわいてくる。そんなふうに、自分で自分のハードルを上げてしまいやすくなります。

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べき思考は、どんな場面で起こりやすい?

べき思考は、とくに次のような場面で顔を出しやすくなります。

  • 仕事で「もっと早く対応すべきだった」と振り返るとき
  • 「親なら/上司なら/社会人なら、こうあるべきだ」と役割を意識するとき
  • 体調が悪くても「休まず頑張るべきだ」と思うとき
  • 相手に対して「ふつうはこうするべきなのに」と感じるとき

どれも、まじめで責任感の強い人ほど直面しやすい場面です。とくに「べき」は、自分だけでなく他人にも向かいやすいのが特徴です。自分に課しているルールを、知らず知らず周りにも当てはめてしまうことがあります。つまり、きちんとしていたいという気持ちの裏返しとも言えます。

べき思考が強いと、何が起こりやすい?

「こうすべき」という基準で物事を測りやすくなるため、次のようなことが起こりやすくなります。

  • できていない部分ばかりが目につき、自分を責めてしまう
  • ルールどおりにできない自分に、罪悪感やプレッシャーを感じる
  • 「すべきなのにできていない」相手に、怒りやイライラを感じる
  • 休むことや甘えることに、強い抵抗を感じてしまう

その結果として、気分の落ち込みや慢性的な緊張、人間関係のすれ違いにつながることがあります。ただ、ここまで読んだ時点で「これは考え方のクセなんだ」と知ることができました。それだけでも、見え方は少しずつ変わっていきます。

べき思考に気づくには?

まずは、気づくことから始めます。頭の中に、次のような言葉が浮かんできたら、べき思考が顔を出しているサインかもしれません。

「〜すべき」「〜でなければ」「〜して当然」「〜するのが当たり前」「ふつうは〜」

落ち込んだときやイライラしたとき、「いま、こうした強い言葉を使っていないか」と振り返ってみてください。とくに、その言葉のあとに重たい気分が続くなら、自分を縛るルールが働いているのかもしれません。気づくだけで十分です。無理に打ち消す必要はありません。

べき思考をゆるめるには?

気づけたら、次はやさしく言いかえてみましょう。「べき」という命令の言葉を、「できたらいい」「〜したい」というやわらかい希望の言葉に置きかえると、同じ内容でも気持ちのこわばりがほどけていきます。

べき思考の言葉ゆるめた言いかえ
もっと早く対応すべきだった次はもう少し早くできたらいい
親なら我慢して当然だ親でも、つらいときは休んでいい
残業して当たり前だできる範囲でやって、あとは明日に回したい
相手はこうするべきなのに人によってやり方は違うのかもしれない

ポイントは、「べき」を完全になくそうとしないことです。基準を持つこと自体は、あなたの大切な強みでもあります。めざすのは、その基準を「絶対のルール」から「できたらうれしい目安」へと、少しやわらげることです。

実際に試す:コラム法を使うと、この言いかえを書き出しながら練習できます。なお、認知行動療法の考え方の基礎は、国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センターでも解説されています。働く人向けには、厚生労働省のこころの耳でもセルフケアの教材が公開されています。

べき思考と向き合うときの注意点は?

最後に、完璧主義との関係に少しだけ触れておきます。べき思考と完璧主義は、とても近い関係にあります。「完璧であるべき」というルールが強くなると、どんなにできても「まだ足りない」と感じ続け、自分を休ませてあげられなくなります。

ここで気をつけたいのは、べき思考を「直すべき欠点」としてとらえてしまうことです。それでは、また「ちゃんと直すべきなのにできない」と新しい「べき」で自分を責めてしまうことになりかねません。あくまで、気づいて、少し扱いやすくするもの。なくす必要はありません。そして、つらさが強い・長く続くと感じるときは、一人で抱えこまず、専門機関への相談も大切にしてください。

よくある質問

べき思考は悪いことなのでしょうか?
悪いものではありません。自分に基準を持って努力できたり、責任を果たそうとできたりする長所の裏返しでもあります。問題なのはクセそのものではなく、それが強く出て自分や周りを追い詰めてしまうときです。そんなときに、少しゆるめられれば十分です。
完璧主義とべき思考は同じですか?
とても近い関係にありますが、同じではありません。完璧主義が「完璧でなければ」という基準の高さを指すのに対して、べき思考は「〜すべき」という強いルールで物事を判断しやすいクセを指します。二つが重なると、より自分を追い込みやすくなることがあります。
他人に対しても「べき」と思ってしまい、イライラします。
それも自然なことです。べき思考は自分だけでなく、他人にも向かいやすい特徴があります。「相手はこうすべきなのに」という期待が裏切られると、怒りを感じやすくなります。その期待が自分のルールであることに気づけると、少し距離を置いて見られるようになります。
ゆるめようとしても、つい「べき」と考えてしまいます。
長年慣れ親しんだ考え方は、すぐには変わりません。ただ、「また『べき』で考えているな」と気づけた時点で、すでに前進しています。コラム法などで書き出して練習を重ねると、少しずつ扱いやすくなります。焦らず取り組んで問題ありません。

次にできること

参考・出典

  1. 国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター
  2. 厚生労働省 こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト

※ 本記事はセルフケア・教育を目的とした情報であり、特定の疾患の診断・治療を目的としたものではありません。つらさが強い・長く続く場合は、無理をせず医療機関や専門家への相談もご検討ください。