レジリエンスとは?ストレスにしなやかに向き合う力を解説
レジリエンスとは、ストレスや困難な出来事に直面しても、そこから立ち直り、しなやかに適応していく心の力を指します。折れない強さというより、いったん落ち込んでも回復していくバネのような性質と捉えるとわかりやすいです。生まれつきの素質だけで決まるものではなく、考え方や行動、人とのつながりを通して、後から育てていける力だと考えられています。つらさが強いときは、無理をせず専門機関に相談することも大切です。
「うまくいかないことが続くと、なかなか立ち直れない」。そんなふうに感じることはありませんか。困難から回復していく力は「レジリエンス」と呼ばれ、近年さまざまな分野で注目されています。じつは、これは特別な人だけが持つものではなく、誰もが少しずつ育てていける力です。この記事では、レジリエンスの意味から高め方まで、ていねいに整理していきます。
この記事で整理できること
- レジリエンスの基本的な意味と注目される背景
- ストレス抵抗力・回復力との違い
- レジリエンスが高い人に見られる特徴
- 日常のなかでレジリエンスを高める方法
- 認知行動療法との関係
- 職場で活かすレジリエンスの考え方
レジリエンスとは?
レジリエンス(resilience)とは、ストレスや困難な出来事に直面しても、そこから立ち直り、しなやかに適応していく心の力を指します。
もともとは「弾力」「回復力」を意味する言葉で、外から力を加えられても、もとの形に戻ろうとするバネのような性質をイメージするとわかりやすいです。心理学の分野では、逆境やストレスにさらされても、それを乗り越えて適応していく過程や能力として研究されてきました。近年は、変化の多い社会のなかで、誰もが身につけたい力として注目されています。
ここで大切にしたいのは、レジリエンスは「折れない強さ」ではなく「立ち直っていくしなやかさ」だという点です。つらいときに落ち込まないことではなく、いったん落ち込んでも、また回復していける。そうした柔軟さこそが、レジリエンスの本質だと考えられています。
ストレス抵抗力・回復力との違いは?
似た言葉と比べると、レジリエンスの輪郭がはっきりしてきます。
「ストレス抵抗力」は、ストレスをそもそも受けにくくする、いわば守りの力です。一方「回復力」は、ダメージを受けたあとに戻っていく力を指します。レジリエンスは、このどちらか一方ではなく、両方を含みながら、さらに「困難を経験して適応的に変化していく」過程までを含む、より幅広い概念です。
| 言葉 | 主に注目する場面 | イメージ |
|---|---|---|
| ストレス抵抗力 | ストレスを受ける前 | 受け止める・はね返す |
| 回復力 | ダメージを受けたあと | もとに戻る |
| レジリエンス | 困難の前・最中・あと | しなやかに適応していく |
つまりレジリエンスは、「打たれ強さ」と「立ち直りやすさ」を合わせ持ち、経験を通して育っていく、動的な力だと捉えるとわかりやすいです。
レジリエンスが高い人の特徴は?
レジリエンスが高いとされる人には、いくつか共通して見られる傾向があります。
専門的な補足として、これらは固定された「性格」というより、考え方や行動の習慣として表れるものと考えられています。たとえば、次のような特徴がよく挙げられます。
- 出来事をいろいろな角度から捉え直せる(柔軟な考え方)
- つらいときに、信頼できる人に頼ったり相談したりできる
- 自分の感情に気づき、ことばにできる
- 完璧を求めすぎず、できたことに目を向けられる
- 「なんとかなる」という見通しを持ちやすい
注意したいのは、これらすべてを備えていなければならない、ということではない点です。どれか一つでも、いまの自分に取り入れられそうなものから始めれば十分です。
レジリエンスを高めるには?
レジリエンスは、後から育てていける力だと考えられています。日常のなかで取り組めることがいくつかあります。
特別なことをする必要はなく、小さな習慣の積み重ねが土台になります。たとえば、次のような工夫です。
- 気づく — つらくなった場面で、自分が何を考えているかにそっと注目する
- つながる — 一人で抱えこまず、信頼できる人に話してみる
- 整える — 睡眠・食事・休息など、心身の土台をていねいにケアする
働く人のセルフケアについては、厚生労働省のポータルサイトこころの耳でも、ストレスとの向き合い方やセルフケアの教材が幅広く提供されています。あわせて参考にしてみてください。
認知行動療法との関係は?
レジリエンスを育てるうえで、認知行動療法の考え方はよい手がかりになります。
認知行動療法は、出来事そのものではなく「その受け取り方」に気づき、見方の選択肢を広げていくアプローチです。考え方を柔軟にしていくこの姿勢は、レジリエンスの中心にある「しなやかさ」と深く重なります。基礎的な解説は、日本初の認知行動療法専門の研究機関である国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センターでも公開されています。
つらい場面で自分の考えに気づき、別の見方も探してみる。こうした認知行動療法のスキルを少しずつ身につけることは、困難から立ち直っていく力を育てることにもつながっていきます。
詳しく知る:認知の歪みとは?10種類の考え方のクセを具体例で解説
職場でのレジリエンスはどう活かす?
働く環境でも、レジリエンスは注目されているテーマです。
仕事では、思いどおりにいかない出来事や、プレッシャーのかかる場面が避けられません。そうしたなかで、一人ひとりが立ち直っていく力を育てることは、無理なく働き続けるための支えになります。ただし、これは個人の努力だけに任せるものではないという点が大切です。
職場のレジリエンスは、本人のセルフケアと、組織による環境づくりの両方で支えられます。相談しやすい雰囲気、適切な業務量、お互いを気づかえる関係性。そうした土台があってこそ、個人の力も育ちやすくなります。セルフケアを無理なく習慣化していく仕組みづくりについては、Wementalとは?もあわせてご覧ください。
レジリエンスは、つらさを一人で抱えこむための力ではなく、しなやかに立ち直っていくための力です。「強くあらねば」と力が入りすぎてしまったら、誰かに頼ることもまた、大切な力の一つです。つらさが強いときや長く続くときは、無理をせず、専門機関への相談も大切にしてください。
よくある質問
レジリエンスは生まれつきの性格で決まるのですか?
レジリエンスが高いと、落ち込まなくなるのですか?
レジリエンスを高めるには、何から始めればよいですか?
つらさが強いときも、自分でレジリエンスを高めればよいのですか?
参考・出典
※ 本記事はセルフケア・教育を目的とした情報であり、特定の疾患の診断・治療を目的としたものではありません。つらさが強い・長く続く場合は、無理をせず医療機関や専門家への相談もご検討ください。