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認知の歪みとは?10種類の考え方のクセを具体例で解説

記事のサマリ

認知の歪みとは、出来事を受け取るときに無意識に働く、考え方のクセのことです。白黒思考やべき思考、過度の一般化など、誰にでもある偏った受け取り方を指し、認知行動療法では代表的なものを10種類ほどに整理して扱います。性格の問題ではなく、疲れているときやストレスが強いときに出やすくなるものです。まず種類を知って自分のクセに気づくことが、気持ちを扱いやすくする第一歩になります。つらさが強いときは、専門機関への相談も大切です。

「どうして自分だけ」「きっと嫌われた」。落ち込んだとき、頭の中には特定のパターンの考えが浮かびやすいものです。これは性格の弱さではなく、誰の心にもある「考え方のクセ」が働いているサインです。この記事では、認知行動療法でよく扱われる代表的な10種類のクセを、具体例とともにていねいに整理していきます。

この記事で整理できること

  • 認知の歪みの意味と心理的な背景
  • なぜ考え方にクセが生まれるのか
  • 代表的な10種類のクセの一覧と具体例
  • 自分のクセに気づくための視点
  • クセとやさしく向き合うときの考え方
  • さらに深く学ぶための次の一歩

認知の歪みとは?

認知の歪みとは、出来事を受け取るときに、無意識のうちに働く考え方のクセのことです。認知行動療法では、気分が落ち込んだり不安になったりするとき、その背景に偏った受け取り方が隠れていることが多いと考え、代表的なものを整理して扱います。

「歪み」という言葉は少しきつく聞こえるかもしれませんが、これは欠点や異常という意味ではありません。むしろ、心がストレスや疲れに反応した結果として、ものごとが一方向に偏って見えてしまう状態を指します。誰の心にも起こりうる、ごく自然な現象です。

まずは、その土台となる考え方として認知行動療法とは?もあわせて読むと、全体像がつかみやすくなります。

なぜ、考え方にクセが生まれるの?

短い回答としては、わたしたちの脳が、情報を素早く処理しようとするからです。

毎日たくさんの出来事に直面するなかで、脳はいちいち時間をかけて判断していられません。そこで、過去の経験をもとに「たぶんこうだろう」と素早く決めつける近道を使います。この近道は便利な反面、疲れているときやストレスが強いときには極端な方向に偏りやすくなります

たとえば、忙しくて余裕がない日に同僚の短い返事を受け取ると、いつもなら気にしないのに「冷たくされた」と感じてしまう。これは性格が変わったのではなく、心の余裕がないときにクセが顔を出した結果です。こうしたとっさの考えのしくみは自動思考とは?でくわしく扱っています。

代表的な10種類の考え方のクセは?

認知行動療法でよく取り上げられる代表的なクセを、一覧にまとめます。それぞれ、定義と身近な具体例を一つずつ添えました。

考え方のクセどんなクセか具体例
白黒思考ものごとを「成功か失敗か」と極端な二択でとらえる1か所ミスしただけで「全部ダメだった」と感じる
べき思考「〜すべき」「〜でなければ」と自分や他人を強く縛る「常に完璧でいるべき」と考えて疲れてしまう
過度の一般化一度の出来事を「いつもこうだ」と広げてしまう一度断られて「自分はいつも嫌われる」と思う
心のフィルターよい面を見落とし、悪い面だけに注目してしまう褒められても、一つの指摘だけが頭に残る
マイナス化思考よい出来事を「たまたま」と価値を打ち消してしまううまくいっても「運がよかっただけ」と考える
結論の飛躍根拠が少ないのに悪い結論へ飛んでしまう返信がないだけで「怒らせた」と決めつける
感情的決めつけ「そう感じるから事実だ」と感情を根拠にする不安だから「きっと失敗する」と思い込む
レッテル貼り一度の失敗で「自分はダメな人間だ」と決めつけるミス一つで「私は無能だ」と自分に貼る
個人化自分のせいではないことまで自分の責任にするチームの不調を「全部自分のせい」と背負う
拡大解釈と過小評価失敗は大きく、長所は小さく見積もってしまう自分の短所は誇張し、できたことは軽く見る

数が多く感じるかもしれませんが、すべてを覚える必要はありません。「自分はこれが出やすいかも」と感じたものから、ゆっくり知っていけば十分です。

まずは身近な一つから知りたい方は、白黒思考とは?をのぞいてみてください。

自分のクセに気づくには?

短い回答としては、落ち込んだ瞬間の「頭の中の言葉」に注目することです。

クセは、特定の言いまわしとして現れやすいものです。たとえば次のような強い言葉が浮かんだら、なんらかのクセが顔を出しているサインかもしれません。

「絶対」「いつも」「全部」「〜すべき」「どうせ」「みんな」

気持ちがざわついたとき、「いま、こういう言葉を使っていないか」と一度立ち止まってみてください。気づくだけで十分で、無理に打ち消す必要はありません。書き出して整理したいときは、認知の歪みチェックリストを使うと、自分の傾向を見つけやすくなります。

気づいたあとは、どうすればいい?

気づけたら、次は別の見方がないかをやさしく探してみます。考えをなくすのではなく、選択肢を増やすイメージです。

具体的には、紙に書き出して整理する方法が役立ちます。代表的なワークがコラム法とは?で、出来事・浮かんだ考え・別の見方を順に書き出すことで、頭の中だけでぐるぐるしていた考えを少し外から眺められるようになります。認知行動療法の考え方の基礎は、国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センターでも公開されています。働く人向けには、厚生労働省のこころの耳でもセルフケアの教材が提供されています。

認知の歪みと向き合うときの注意点は?

最後に、心にとめておきたいことをお伝えします。クセを「直すべき欠点」としてとらえてしまうと、「うまく直せない自分はダメだ」と、かえって別のクセで自分を責めてしまうことがあります。

あくまで、気づいて少し扱いやすくするものです。なくす必要はありませんし、完璧にできなくても問題ありません。やさしいきもちで続けてみてください。そして、つらさが強い・長く続くと感じるときは、一人で抱えこまず、専門機関への相談も大切にしてください。

よくある質問

認知の歪みがあるのは、自分だけでしょうか?
そうではありません。考え方のクセは、程度の差はあっても誰の心にもあるものです。脳が情報を素早く処理するために生まれる自然な働きでもあり、いわば心の省エネのしくみです。問題なのはクセそのものではなく、それが強く出て自分を苦しめてしまうときです。そんなときに少し気づければ十分です。
10種類すべてを覚えないといけませんか?
覚える必要はありません。すべてを暗記するより、「自分はどのクセが出やすいか」をいくつか知っておくほうが役立ちます。落ち込んだときに「これはあのクセかもしれない」と思い出せれば十分です。気になったものから、詳細記事でゆっくり見ていく形で問題ありません。
クセに気づいたら、すぐに考えを変えるべきですか?
急いで変えようとしなくて大丈夫です。認知行動療法でめざすのは、考えをなくすことではなく、見方の選択肢を増やすことです。まずは「いま、こういうクセが出ているな」と気づくだけで、十分な一歩になります。気づいたうえで、別の見方も探してみるくらいのやさしさで取り組むと続けやすくなります。

次にできること

参考・出典

  1. 国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター「認知行動療法とは」
  2. 厚生労働省 こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト

※ 本記事はセルフケア・教育を目的とした情報であり、特定の疾患の診断・治療を目的としたものではありません。つらさが強い・長く続く場合は、無理をせず医療機関や専門家への相談もご検討ください。