コラム法とは?考え方を整理する基本ワークを解説
コラム法とは、落ち込んだりイライラしたりした場面を、いくつかの欄(コラム)に分けて書き出し、考え方を整理していく認知行動療法の基本ワークです。「出来事」「そのとき浮かんだ考え」「気分」などを順番に書くことで、頭の中だけでは気づきにくい受け取り方のクセが見えてきます。3コラム・5コラム・7コラムなど段階があり、慣れに合わせて選べます。診断や治療に代わるものではないため、つらさが強いときは専門機関への相談も大切です。
もやもやした気持ちを抱えたまま、頭の中で同じことを何度も考えてしまう。そんなとき、思いを書き出して整理するだけで、ふっと気持ちが軽くなることがあります。コラム法は、その整理のしかたを誰でも使える形にした、認知行動療法の代表的なワークです。この記事では、コラム法の意味から書き方の手順、記入例までを、はじめての方にもわかるようにていねいに整理していきます。
この記事で整理できること
- コラム法の基本的な意味と、何のために使うのか
- 3コラム・5コラム・7コラムの違いと選び方
- 実際の書き方の手順をステップで確認
- 仕事や人間関係を題材にした記入例
- 無理なく続けるためのコツ
- セルフケアとして取り組むときの注意点
コラム法とは?
コラム法とは、気持ちが揺れた場面を、いくつかの「欄(コラム)」に分けて書き出し、考え方を整理していく認知行動療法の基本ワークです。「コラム」とは新聞のコラム欄のような縦の区切りを指し、出来事や考え、気分などを欄ごとに分けて書いていくことから、この名前で呼ばれています。
頭の中だけで考えていると、出来事・考え・気分がひとかたまりになって、何にもやもやしているのかが見えにくくなりがちです。コラム法では、それを項目ごとに分けて書き出すことで、いまの自分の状態を一歩離れて眺められるようにします。書くことそのものが、こころの整理につながっていきます。
基礎的な考え方は、国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センターでも解説されています。あわせて自動思考とは?も読むと、コラム法で何に注目するのかがつかみやすくなります。
3コラム・5コラム・7コラムは何が違う?
コラム法には、欄の数によっていくつかの段階があります。欄が増えるほど整理は深まりますが、その分書く手間も増えます。代表的な3つを表で整理します。
| 種類 | 主な欄 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 3コラム | 出来事/考え(自動思考)/気分 | はじめての人、まず気づく習慣をつくりたいとき |
| 5コラム | 上記+根拠/別の見方 | 考えを見直し、視野を広げたいとき |
| 7コラム | 上記+反証/こころの変化 | じっくり整理し、変化を確かめたいとき |
無理に多い欄から始める必要はありません。まずは3コラムから始め、慣れてきたら欄を増やしていくのが、続けやすい進め方です。
コラム法はどう書く?
ここでは、基本となる流れを5コラムを例にステップで見ていきます。むずかしく考えず、思い浮かんだことを順番に書くだけで大丈夫です。
- 出来事 — 気持ちが動いた場面を、事実だけ短く書く
- 考え(自動思考) — そのときとっさに浮かんだ考えを書く
- 気分 — わきあがった気分と、その強さを0〜100点で書く
- 根拠 — その考えを裏づける事実があれば書く
- 別の見方 — ほかの受け取り方はないかを考えて書く
ポイントは、考えと事実を分けることと、気分に点数をつけることです。点数にすると変化が見えやすく、「少し下がった」という小さな手応えにも気づけます。完璧に埋めようとせず、書ける欄から埋めていきましょう。
どんなふうに記入する?(記入例)
イメージがわくように、仕事と人間関係の場面を例に挙げます。あくまで一例なので、自分の言葉に置きかえて使ってみてください。
【仕事の例】 出来事:会議で自分の提案に上司が反応しなかった 考え:あきれられた。自分はダメな社員だ 気分:落ち込み 80点/不安 70点 根拠:その場で意見をもらえなかった 別の見方:上司は資料を読み込んでいただけかもしれない。後で個別に聞いてみてもいい → 気分:落ち込み 50点/不安 40点
【人間関係の例】 出来事:友人へのメッセージに返信が来ない 考え:嫌われたのかもしれない 気分:不安 75点 別の見方:忙しいだけかもしれない。前は数日後に返ってきたこともあった → 気分:不安 45点
事実は同じでも、別の見方を書き出すと、気分の点数がやわらいでいることがわかります。同じ形式で記録として続けたい場合は、思考記録表とは?もあわせてご覧ください。
続けるコツは?
コラム法は、続けてこそ受け取り方のクセに気づきやすくなります。とはいえ、気負うと長続きしません。次のような工夫が役立ちます。
- 毎日ではなく、気持ちが大きく動いた場面だけ書く
- スマートフォンのメモなど、すぐ書ける場所を決めておく
- 単語や一文だけでもよしとする
- 書いた後に「少し整理できた」と感じられたら十分
大切なのは、量よりも気づく機会を少しずつ積み重ねることです。無料のワークシートを使うと欄が用意されていて取り組みやすいので、思考記録表テンプレートをダウンロードして始めるのもおすすめです。働く人向けの教材は、厚生労働省のこころの耳でも公開されています。
取り組むときの注意点は?
最後に、セルフケアとして取り入れるときに心にとめておきたいことをお伝えします。
- 「正しい答え」を出すワークではない(見方の選択肢を増やすイメージで)
- 別の見方を、無理にポジティブにしようとしない
- うまく書けない自分を責めない
- 気分の点数が下がらない日があっても、それで失敗ではない
コラム法は、自分を採点するためのものではなく、自分の気持ちをそっと整理するための道具です。書いていてつらくなったときは、いったん手を止めて大丈夫です。つらさが強いときや長く続くときは、無理をせず専門機関への相談も大切にしてください。
よくある質問
コラム法と思考記録表は違うものですか?
何コラムから始めるのがよいですか?
うまく書けないときはどうすればよいですか?
毎日続けないと効果はありませんか?
参考・出典
※ 本記事はセルフケア・教育を目的とした情報であり、特定の疾患の診断・治療を目的としたものではありません。つらさが強い・長く続く場合は、無理をせず医療機関や専門家への相談もご検討ください。