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反芻思考とは?同じことを考え続けるクセを解説

記事のサマリ

反芻思考とは、過去の失敗や気がかりなことを、頭の中で何度も繰り返し考え続けてしまう状態のことです。答えの出ないことをぐるぐると考え続けても出口が見えにくく、つらさだけが長引いてしまうことがあります。これは意志の弱さではなく、誰にでも起こる脳のはたらきです。注意をそらす・書き出す・時間を区切るといった工夫で、少しずつ扱いやすくしていけます。つらさが強い・長く続くときは、専門機関への相談も大切です。

「あのとき、ああ言えばよかった」「どうしてあんなことを言ったんだろう」。終わったことなのに、頭の中で同じ場面が何度も再生されて止まらない。そんな経験はありませんか。じつは、こうして同じことを考え続けてしまうことには名前があり、その仕組みを少し知るだけで、向き合い方が変わってきます。この記事では、反芻思考とは何かを、はじめての方にもわかるようにていねいにお伝えします。

この記事で整理できること

  • 反芻思考(ぐるぐる思考)の基本的な意味
  • なぜ同じことを考え続けてしまうのか、その仕組み
  • 問題解決と反芻の違い(答えの出ない反復)
  • 止まらないときに試せる具体的な工夫
  • 考えと自分のあいだに距離をとる見方
  • 専門機関に相談する目安

反芻思考とは?

反芻思考(はんすうしこう)とは、過去の失敗や気がかりなことを、頭の中で何度も繰り返し考え続けてしまう状態のことです。

「反芻」とはもともと、牛などが一度飲みこんだ食べ物を口に戻して、何度も噛みなおすことを指す言葉です。それになぞらえて、同じ考えを頭の中で何度も再生してしまうようすを、反芻思考と呼びます。「ぐるぐる思考」と表現されることもあります。

ここで知っておきたいのは、反芻が起こること自体は誰にでもある自然な反応だということです。気がかりなことがあれば、人はそれについて考えます。問題なのは考えがあることではなく、同じ考えが止まらず、つらさだけが長引いてしまう状態です。

理解を深める:自動思考とは?

なぜ同じことを考え続けてしまう?

それは、わたしたちの脳に「気がかりなことを解決しようとして考え続ける」性質があるからです。

本来、考えることはとても役に立つはたらきです。困りごとがあれば、人はそれについて考え、対処の方法を探します。ところが、すでに過ぎてしまったことや、自分では変えられないことに対しては、いくら考えても状況は動きません。それでも脳は「まだ解決していない」と感じて、考え続けようとします。

その結果、解決しようとする力が空回りして、ループだけが続いてしまうのです。とくに疲れているときやストレスが強いときは、この空回りが起こりやすくなります。止まらないのは意志が弱いからではなく、脳の仕組みによるものだと捉えると、自分を責めずにすみます。

問題解決と反芻は、どう違う?

大きな違いは、「答えに近づいているか」「同じところを巡っているだけか」です。

考えることのすべてが反芻というわけではありません。次のように並べてみると、違いが見えてきます。

問題解決のための思考反芻
向かう先具体的な対処や行動はっきりしないまま堂々巡り
問いの形「どうすればよいか」「なぜこうなったのか」の繰り返し
結果少しずつ整理が進む出口が見えず、つらさが続く

ポイントは、「どうすれば」という前向きな問いか、「なぜ」という答えの出ない問いかという点です。「なぜあんなことを言ったんだろう」と過去を何度もなぞるばかりで、次の行動につながらないと感じたら、それは反芻に近づいているサインかもしれません。

反芻が止まらないとき、どうすればいい?

無理に考えを止めようとするより、注意の向け先をやさしく変えていくのがおすすめです。

「考えないようにしよう」と力むほど、その考えはかえって浮かびやすくなることが知られています。そこで、止めようとするのではなく、別のところへ注意を移していきます。たとえば、次のような工夫があります。

  • 注意をそらす — 散歩や軽い運動、家事など、体を動かす活動に注意を向ける
  • 書き出す — 頭の中で巡っていることを、紙やスマホにそのまま書き出す
  • 時間を区切る — 「10分だけ考える」と決め、時間が来たらいったん手放す

「書き出す」は、頭の中だけで巡らせるより整理しやすくなる方法です。具体的な手順は、コラム法とは?思考記録表とは?もあわせてご覧ください。働く人向けには、厚生労働省のポータルサイトこころの耳でも、ストレスへの気づきやセルフケアの教材が公開されています。

考えと自分のあいだに、距離をとるには?

浮かんでいる考えを「自分そのもの」ではなく、「いま浮かんでいる一つの考え」として眺めると、距離がとりやすくなります。

たとえば「私はダメだ」と浮かんだとき、それを事実として握りしめるのではなく、「私はいま“ダメだ”という考えを持っているな」と一歩引いて言いかえてみる方法があります。考えにラベルを貼って、少し離れたところから観察するようなイメージです。

考えは天気のようなもので、浮かんでは流れていきます。雨の日に「自分が雨そのものだ」とは思わないように、繰り返し浮かぶ考えも、自分の一部ではあっても自分のすべてではありません。こうした距離のとり方は、上位のまとめ記事ネガティブ思考が止まらないときはどうする?でも、さらにくわしく整理しています。

つらさが続くときは、どこに相談すればいい?

セルフケアで扱いきれないと感じるときは、一人で抱えこまず、専門機関に相談することが大切な選択肢になります。

次のようなときは、相談を考える目安です。

  • 反芻が強く、日常生活や仕事に支障が出ている
  • 眠れない・食べられない状態が続いている
  • 自分を強く責める気持ちが続いている
  • つらさが長く続き、自分だけでは扱いきれないと感じる

相談先がわからないときは、国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センターのような専門機関の情報や、お住まいの地域の相談窓口が手がかりになります。

考えを整理する方法は、自分を追い込むための道具ではなく、自分をラクにするための道具です。うまく手放せない日があっても、それで十分です。一人で取り組むことと、誰かに頼ることは、どちらも大事なセルフケアです。つらいときは抱えこまず、頼ってよいのだと覚えておいてください。

よくある質問

反芻思考は誰にでもあるものですか?
はい、程度の差はあっても、誰にでも起こる自然な反応です。本来わたしたちの脳には、気がかりなことを考え続けて解決しようとする性質があります。疲れているときやストレスが強いときほど起こりやすく、特別なことではありません。問題なのは反芻があること自体ではなく、止まらずにつらさが長引いてしまう状態です。
考え続ければ、いつか答えが見つかりますか?
考えることで整理が進む場合もありますが、すでに過ぎたことや、自分では変えられないことについては、考え続けても答えが出にくいのが実際です。同じところを巡るばかりで出口が見えないと感じたら、それは解決のための思考ではなく、反芻に近づいているサインかもしれません。いったん考えから離れることも、大切な選択です。
反芻をやめようとすると、かえって考えてしまいます。
「考えないようにしよう」と意識すると、その考えに注意が向き、かえって浮かびやすくなることが知られています。無理に止めようと力むより、別の活動に体を動かしたり、考えを紙に書き出したりして、注意の向け先をやさしく変えていくほうが扱いやすくなります。
夜になると反芻が強くなるのはなぜですか?
夜は刺激が少なく、ほかに注意が向きにくいため、気がかりなことが浮かびやすくなりやすいといわれます。疲れもたまっていて、考えが極端になりやすい時間帯でもあります。眠れないほどつらいときは、無理に考えを片づけようとせず、いったん書き出して翌日に回す、という区切り方も一つの方法です。

次にできること

参考・出典

  1. 厚生労働省 こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
  2. 国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター

※ 本記事はセルフケア・教育を目的とした情報であり、特定の疾患の診断・治療を目的としたものではありません。つらさが強い・長く続く場合は、無理をせず医療機関や専門家への相談もご検討ください。