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自動思考に気づくには?頭に浮かんだ言葉を記録する方法

記事のサマリ

自動思考に気づくには、まず「気分が動いた瞬間」を手がかりにします。落ち込んだりイライラしたりしたとき、その直前に頭をよぎった言葉を、できるだけそのまま書きとめてみます。書き出した言葉に「そのとき何を考えていた?」とやさしく問いを重ねると、ふだんは流れていく自動思考が見えやすくなります。最初からうまく書けなくても問題ありません。気づこうとすること自体が第一歩です。

頭の中には、自分でも気づかないうちにスッと浮かんでくる考えがあります。これを「自動思考」と呼びます。とても速く流れていくため、ふだんは気づきにくいのですが、コツをつかむと少しずつ見えるようになります。この記事では、自動思考に気づくための具体的な手順を、はじめての方にもわかるようにていねいに整理していきます。

この記事で整理できること

  • 自動思考が気づきにくい理由
  • 気づくきっかけになる「気分が動いた瞬間」
  • 頭に浮かんだ言葉を書きとめるコツ
  • 質問で自動思考を掘り下げる方法
  • 書き出して気づくまでの流れ
  • 気づいたあとの向き合い方と注意点

なぜ自動思考は気づきにくい?

自動思考とは、ある出来事に出会ったときに、努力しなくてもとっさに頭をよぎる考えのことです。「自動」という名前のとおり、自分で意識して呼び出すものではなく、スッと浮かんでスッと流れていきます。

気づきにくいのには、理由があります。自動思考はあまりにも速く、当たり前のように浮かぶため、わたしたちはそれを「考え」ではなく「事実」のように受け取ってしまいやすいのです。たとえば「また失敗した」と浮かんだとき、それを一つの考えとして眺めるより先に、すでに気分が落ち込んでいることがあります。

だからこそ、自動思考に気づくには、ほんの少しの「立ち止まる時間」をつくることが役立ちます。むずかしいテクニックは必要ありません。手がかりさえ知っていれば、誰でも少しずつ気づけるようになります。

理解を深める:自動思考とは?

気づくきっかけは?「気分が動いた瞬間」に注目する

自動思考はつかまえにくいものですが、見つけやすくなる入り口があります。それが、「気分が動いた瞬間」です。

考えそのものは速くて見えにくくても、気分の変化は比較的わかりやすいものです。急に落ち込んだ、なんだかイライラした、胸がざわついた——そんなふうに気分が動いたときは、その直前に必ず何かの考えが浮かんでいます。気分は、自動思考が通り過ぎたあとに残る「足あと」のようなものだと考えるとわかりやすいかもしれません。

そこで、まずは気分の小さな変化に気づく練習から始めます。

  • 仕事中、急に気持ちが重くなった
  • メッセージを見て、ふっと不安になった
  • 人と話したあと、なぜか落ち込んだ

こうした瞬間を見つけたら、「いま、気分が動いたな」と心の中でつぶやいてみてください。それだけで、自動思考に近づく入り口に立てています。

頭に浮かんだ言葉を、どう書きとめる?

気分が動いた瞬間に気づけたら、次はその直前に頭をよぎった言葉を、そのまま書きとめます。きれいな文章にする必要はありません。浮かんだままの、短い言葉でかまいません。

書きとめるときに大切なのは、次の点です。

  • うまく書こうとせず、浮かんだ言葉をそのまま書く
  • 「正しいかどうか」は今は判断しない
  • スマホのメモや手帳など、書きやすい場所を一つ決めておく

たとえば、こんなふうに書けます。

気分が動いた場面浮かんだ言葉(自動思考)
返信が来ない「嫌われたのかもしれない」
会議で発言できなかった「自分はダメだ」
予定どおり進まなかった「もう全部間に合わない」

書いてみると、ふだんは流れていく言葉が、はじめて文字として目に見えるようになります。声に出せないことも、紙の上でなら静かに眺められます。

質問で掘り下げるには?

短い言葉を書きとめたら、そこにやさしい質問を重ねると、自動思考がより見えやすくなります。問い詰めるのではなく、自分にそっと尋ねるイメージです。

次のような問いかけが役立ちます。

  1. そのとき、頭に何が浮かんだ? ——いちばん最初に出てきた言葉をたどる
  2. その考えが本当だとしたら、何が心配? ——奥にある気がかりを探す
  3. 自分は自分に、どんな言葉をかけていた? ——心の中のつぶやきに注目する

たとえば「自分はダメだ」と書いた場合、「そのとき何が心配だった?」と尋ねると、「また同じ失敗をするかもしれない」といった、より具体的な考えが見えてくることがあります。こうして一段ずつたどると、自動思考の輪郭がはっきりしてきます。

書き出すと、何に気づける?

頭の中で考えているだけのときと、書き出したときとでは、見え方が大きく変わります。書き出すことには、気づきを助けるいくつかのはたらきがあります。

  • 速く流れる考えを、いったん止めて眺められる
  • 「考え」と「自分」を、少し切り離して見られる
  • 同じ場面で、いつも似た言葉が浮かぶクセに気づける

とくに三つめは大切です。何度か書きためていくと、自分がくり返し使っている言葉のパターンが見えてきます。「いつも」「全部」「どうせ」といった言葉が多い、と気づくこともあるでしょう。これは、考え方のクセに近づくサインでもあります。

書き出すこと自体を、もう少し決まった形で続けたいときは、書き方の枠が用意された方法を使うと取り組みやすくなります。実際に試す:思考記録表を使うと、場面・気分・自動思考を整理しながら書きとめられます。なお、自動思考をはじめとする認知行動療法の基礎は、国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センターでも解説されています。

気づいたあとは、どうすればいい?

自動思考に気づけるようになったら、それだけで十分に大きな一歩です。気づいた考えを、すぐに変えようとしたり、消そうとしたりする必要はありません。

気づいたあとに心にとめておきたいのは、次のことです。

  • 浮かんだ考えを「良い・悪い」で評価しすぎない
  • 気づけなかった日があっても、自分を責めない
  • 気づくことに慣れてきたら、見方を広げる段階へ少しずつ進む

働く人向けには、厚生労働省のポータルサイトこころの耳でも、ストレスへの気づきやセルフケアの情報が公開されています。気づいた考えを整理する次のステップに進みたいときは、考え方のクセを知ることも役立ちます。

自動思考に気づくことは、自分を見張るためではなく、自分をラクにするための練習です。うまく書けない日も、気づけない日もあって当然です。つらさが強い・長く続くと感じるときは、一人で抱えこまず、専門機関への相談も大切にしてください。

よくある質問

自動思考は、誰にでもあるものですか?
はい、自動思考は誰の頭の中にも浮かんでいるものです。とっさに、努力しなくても自然にわいてくるのが特徴です。良い悪いではなく、心のはたらきの一つとしてもともと備わっているものなので、自分だけにあるものと心配する必要はありません。まずは「そういうものがある」と知るところから始められます。
書きとめようとしても、何も思い浮かびません。
それは自然なことです。自動思考はとても速く流れるため、最初はつかまえにくいものです。そんなときは「考え」ではなく、まず「気分」から書いてみてください。落ち込み・不安・イライラなど、感じたことをひとつ書くだけで十分です。気分を起点にすると、あとから考えがたどりやすくなります。
気づいたら、必ず考えを変えないといけませんか?
いいえ、気づいた考えを無理に変える必要はありません。この記事で大切にしているのは、まず「気づく」段階です。気づくだけで、頭の中の言葉と少し距離がとれるようになります。考えを整理したり見方を広げたりするのは、その次の段階として、必要に応じてゆっくり取り組めば十分です。

次にできること

参考・出典

  1. 国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター
  2. 厚生労働省 こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト

※ 本記事はセルフケア・教育を目的とした情報であり、特定の疾患の診断・治療を目的としたものではありません。つらさが強い・長く続く場合は、無理をせず医療機関や専門家への相談もご検討ください。