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セルフモニタリングとは?気分と行動を記録する方法を解説

記事のサマリ

セルフモニタリングとは、自分の気分や行動、そのときの状況を日々記録して、こころと暮らしの動きを観察していく認知行動療法の基本的な取り組みです。頭の中だけでは気づきにくい「どんな場面で気分が動くか」「気分と行動がどうつながっているか」が、記録することで少しずつ見えてきます。特別な道具はいらず、メモや手帳から始められます。診断や治療に代わるものではないため、つらさが強いときは専門機関への相談も大切です。

「なんだか今日は気分が重い」。理由がはっきりしないまま、もやもやした気持ちを抱えて過ごすことはありませんか。そんなとき、自分の気分や行動を少しだけ書きとめてみると、気持ちが動いたきっかけや、隠れていたパターンが見えてくることがあります。セルフモニタリングは、その観察を誰でも使える形にした取り組みです。この記事では、何をどう記録するのか、続けるコツまでをていねいに整理していきます。

この記事で整理できること

  • セルフモニタリングの基本的な意味と、何のために行うのか
  • 記録することがなぜ気持ちの整理に役立つのか
  • 気分・行動・状況という記録する3つの要素
  • 実際のやり方と、すぐ使える記録例
  • 無理なく続けるためのコツ
  • セルフケアとして取り組むときの注意点

セルフモニタリングとは?

セルフモニタリングとは、自分の気分や行動、そのときの状況を日々書きとめて、こころと暮らしの動きを観察していく取り組みです。「モニタリング」は観察や見守りを意味し、自分自身(セルフ)を一歩離れた視点から眺めることから、この名前で呼ばれています。

わたしたちは普段、自分の気分の変化を意外と覚えていないものです。「今週はずっと調子が悪かった」と感じても、記録を見返すと、実は元気な時間もあったと気づくことがあります。セルフモニタリングでは、こうした記憶だけに頼らず、事実として書きとめることで、自分の状態をていねいにとらえられるようにします。

これは認知行動療法のなかでも土台になる取り組みで、自分を客観的に観察する力は、ほかのワークにも活きてきます。基礎的な考え方は、国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センターでも解説されています。

なぜ記録が役立つ?

頭の中だけで考えていると、気分も出来事も入りまじって、何がきっかけで気持ちが動いたのかが見えにくくなりがちです。記録すると、それを外に出して眺められるようになります。

役立つポイントは、大きく次の3つです。

  • 気分が動いたきっかけ(状況)に気づきやすくなる
  • 気分と行動のつながりが見えてくる
  • 時間がたってから見返すことで、変化のパターンに気づける

たとえば「夕方になると気分が下がりやすい」「人と話した日は少し軽い」といった自分なりの傾向は、その場では気づきにくいものです。記録という形で残すからこそ、後からつなげて眺められます。

何を記録する?(気分・行動・状況)

記録の中心になるのは、気分・行動・状況の3つです。むずかしく考えず、その日にあったことを思い出しながら書いてみてください。

記録する要素書く内容の例ポイント
状況いつ・どこで・誰と・何があったか事実だけを短く書く
気分落ち込み・不安・イライラなどと、その強さ点数(0〜100点など)で表すと変化が見やすい
行動そのとき何をしたか・しなかったかできたこと・できなかったこと両方を書く

このうち気分に点数をつけると、「昨日より少し軽い」といった小さな変化にも気づきやすくなります。点数は感覚で大丈夫で、正確さよりも目安として使います。慣れてきたら、そのとき浮かんだ考えを書き足してみると、整理の幅が広がります。

やり方と記録例

やり方はとてもシンプルで、一日の終わりや気持ちが動いたタイミングに、3つの要素を書きとめるだけです。ここでは仕事と暮らしの場面を例に挙げます。あくまで一例なので、自分の言葉に置きかえて使ってみてください。

【平日の例】 状況:午後の会議で発言できなかった 気分:落ち込み 70点/不安 50点 行動:終業後は何もする気になれず、早めに帰宅した

【休日の例】 状況:午前中に散歩に出かけた 気分:おだやか 60点 行動:帰ってから部屋を少し片づけられた

二つを並べると、体を動かした日は気分が少し軽い、といった自分の傾向が見えてきます。同じ形式で考え方まで掘り下げたい場合は、思考記録表とは?もあわせてご覧ください。記録に注目する「考え」については、自動思考とは?も参考になります。

続けるコツは?

セルフモニタリングは、続けることで自分の傾向が見えてきます。とはいえ、気負うと長続きしません。次のような工夫が役立ちます。

  • 一日一行や、単語のメモだけでもよしとする
  • 書く時間を「寝る前」などに決めておく
  • スマートフォンのメモなど、すぐ書ける場所を用意する
  • つらかったことだけでなく、できたこと・ほっとした場面も書く

大切なのは、量よりも自分に目を向ける機会を積み重ねることです。欄が用意されたシートを使うと書きやすいので、1週間セルフケア記録表を使うのもおすすめです。働く人向けの教材は、厚生労働省のこころの耳でも公開されています。

注意点は?

最後に、セルフケアとして取り入れるときに心にとめておきたいことをお伝えします。

  • 「正しく記録する」ことを目的にしない(観察できれば十分)
  • つらい場面ばかりに注目しすぎない
  • 記録を見て自分を評価したり、責めたりしない
  • 気分が下がる日があっても、それで失敗ではない

セルフモニタリングは、自分を採点するためのものではなく、自分の状態をそっと見守るための道具です。書いていてつらくなったときは、いったん手を止めて大丈夫です。つらさが強いときや長く続くときは、無理をせず専門機関への相談も大切にしてください。

よくある質問

セルフモニタリングとコラム法は違うものですか?
目的は近いですが、注目するところが少し異なります。セルフモニタリングは気分や行動を日々記録して全体の流れを観察するもので、コラム法はある場面の「考え方」をていねいに整理するものです。まず記録する習慣をつくりたいときはセルフモニタリング、特定の場面を掘り下げたいときはコラム法、というように組み合わせて使うと取り組みやすくなります。
毎日記録しないと意味がありませんか?
毎日でなくても役立ちます。気分が大きく動いた日だけ書く、一日の終わりに一行だけ書く、という取り入れ方でも十分です。回数の多さよりも、自分の状態に目を向ける機会を少しずつ積み重ねることが大切です。負担にならないペースを優先してください。
記録していると、かえって落ち込みませんか?
つらかった出来事に注目しすぎると、気持ちが重くなることがあります。そんなときは、できたことや少しほっとした場面も一緒に書くと、バランスがとりやすくなります。書いていてつらくなったら、いったん手を止めて大丈夫です。記録は自分をラクにするための道具です。
気分の点数がうまくつけられません。
点数は正確さよりも目安として使うもので、感覚で大丈夫です。0〜100点が難しければ、5段階や「重い・ふつう・軽い」でもかまいません。同じ基準で続けることで、自分のなかの変化に気づきやすくなります。つけにくい日は、書ける範囲で続けてみてください。

次にできること

参考・出典

  1. 国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター「認知行動療法とは」
  2. 厚生労働省 こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト

※ 本記事はセルフケア・教育を目的とした情報であり、特定の疾患の診断・治療を目的としたものではありません。つらさが強い・長く続く場合は、無理をせず医療機関や専門家への相談もご検討ください。