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認知行動療法でできること・できないことは?

記事のサマリ

認知行動療法でできることは、考え方・気分・行動のつながりに気づき、極端になりやすい受け取り方を整理して、見方の選択肢を増やしていくことです。日々のストレスや不安を扱いやすくする手がかりになります。一方で、つらさそのものを必ずなくせるわけではなく、診断や治療に代わるものでもありません。できること・できないことの両方を知っておくと、無理なく、安心して取り組みやすくなります。つらさが強いときは、専門機関への相談も大切です。

「認知行動療法を試してみたいけれど、どこまで効果があるのだろう」。そう感じる方は少なくありません。期待しすぎても、逆に決めつけてあきらめても、もったいないものです。この記事では、認知行動療法でできること・できないことを対比しながら、ちょうどよい距離感で向き合えるように、ていねいに整理していきます。

この記事で整理できること

  • できること・できないことを知っておく意味
  • 認知行動療法でできることの具体例
  • 認知行動療法だけでは難しいこと
  • セルフケアとして取り組むときの限界
  • 専門家と一緒に取り組む意味
  • 向き合うときの注意点

できること・できないことを知ると、なぜ役立つ?

認知行動療法に取り組むとき、「できること」と「できないこと」の両方を先に知っておくと、ちょうどよい距離感で向き合えるようになります。

期待しすぎると、思ったほど変わらなかったときに「やっぱり自分はダメだ」と感じてしまいがちです。逆に「どうせ意味がない」と決めつけてしまうと、せっかくの手がかりを使えないまま終わってしまいます。できること・できないことを知っておくのは、あきらめるためではなく、安心して取り組むためです。

万能ではないと知るからこそ、無理なく、自分のペースで続けやすくなります。

認知行動療法でできることは?

まず、認知行動療法が得意としていることを整理してみましょう。日々のなかで、次のような場面で手がかりになります。

できること具体的な場面の例
考え方のクセに気づく落ち込んだとき、どんな見方をしていたかに気づく
受け取り方を整理する「全部ダメ」が極端ではないか書き出して見直す
見方の選択肢を増やす別の受け取り方も探して、気持ちを扱いやすくする
小さな行動を試す動けないとき、できる一歩から行動してみる

こうした「気づく・整理する・試す」を積み重ねることで、ストレスや不安を扱いやすくしていけるのが、認知行動療法の得意なところです。うつや不安、ストレスへの対処など、さまざまな領域で効果が研究されてきたアプローチでもあります(国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター)。

認知行動療法だけでは難しいことは?

一方で、認知行動療法にも、苦手なことや、それだけでは難しいことがあります。あらかじめ知っておくと安心です。

難しいこと理由・補足
つらさを必ずゼロにする気持ちを消すのではなく、扱いやすくするもの
診断や治療の代わりになる心理的なアプローチであり、医療行為ではない
出来事そのものを変える変えるのは受け取り方であり、状況自体ではない
すぐに大きく変える習慣として少しずつ積み重ねていくもの

大切なのは、これらを「できないから意味がない」ととらえないことです。万能ではないと知っておくことで、ほかの方法や専門家の力と上手に組み合わせやすくなります。

セルフケアとしての限界は、どこにある?

認知行動療法の考え方は、本やワークシートを使って、セルフケアとして日常に取り入れることができます。ただし、自分一人で取り組むことには、いくつかの限界もあります。

たとえば、つらさが強いときは、考えを整理しようとしても頭が動かないことがあります。また、自分の考え方のクセは、自分では気づきにくいものです。一人だと、同じ見方のなかでぐるぐるしてしまうこともあります。

こうしたときに大切なのは、「セルフケアでなんとかしなければ」と抱えこみすぎないことです。一人で続けることと、誰かに頼ることは、どちらも前向きなセルフケアです。働く人向けには、厚生労働省のポータルサイトこころの耳でも、セルフケアの教材が公開されています。

専門家と取り組むと、何が変わる?

つらさが強いときや、一人では難しいと感じるときは、専門家と一緒に取り組むという選択肢があります。セルフケアと比べてみましょう。

セルフケア専門家と取り組む
取り組み方本やワークで自分のペースで対話しながら一緒に進める
向いている場面軽いストレスの整理・予防つらさが強い・抱えきれないとき
気づきやすさ慣れた見方になりやすい自分では気づきにくい見方に気づける

専門家と取り組むと、自分一人では見えにくかった受け取り方に気づけることがあります。どちらが上ということではなく、状況に合わせて選んでいくものです。

向き合うときに気をつけたいことは?

最後に、認知行動療法のできること・できないことと向き合うときに、心にとめておきたいことをお伝えします。

  • 効果を期待しすぎず、決めつけもせず、ちょうどよい距離感で取り組む
  • できないことを「自分の失敗」と受け取らない
  • セルフケアにこだわりすぎず、必要なときは頼る
  • つらさが強い・長く続くときは、専門機関への相談も大切にする

できることとできないことを知るのは、自分にやさしくなるための地図のようなものです。すべてを一人で背負う必要はありません。つらさが続くときは、一人で抱えこまず、専門機関への相談も選択肢にしてくださいね。

よくある質問

認知行動療法をやれば、つらい気持ちはなくなりますか?
つらさを必ずゼロにできるものではありません。認知行動療法でめざすのは、気持ちを消すことよりも、極端になりやすい受け取り方を整理して、扱いやすくしていくことです。つらさが和らぐこともありますが、感じ方には個人差があります。小さな変化に気づけたら、それも十分な一歩です。
セルフケアと、専門家と取り組むのは何が違いますか?
考え方を整理する基本的な方法は、本やワークシートを使ってセルフケアとして取り入れられます。一方、つらさが強いときや一人で抱えきれないときは、専門家と一緒に進めることで、自分では気づきにくい見方に気づける場合があります。どちらが上というものではなく、状況に合わせて選んでいくものです。
できないことがあるなら、やる意味はないのでしょうか?
そんなことはありません。できないことを知っておくのは、あきらめるためではなく、できることに安心して取り組むためです。万能ではないからこそ、ほかの方法や専門家の力と組み合わせやすい、という見方もできます。できる範囲から、無理なく始めてみてください。
つらさが強いときも、まず自分で試したほうがよいですか?
無理をして一人で抱えこむ必要はありません。つらさが強い・長く続くと感じるときは、セルフケアにこだわりすぎず、早めに専門機関へ相談することも大切なセルフケアの一つです。頼ることと、自分で取り組むことは、どちらも前向きな選択です。

次にできること

参考・出典

  1. 国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター「認知行動療法とは」
  2. 厚生労働省 こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト

※ 本記事はセルフケア・教育を目的とした情報であり、特定の疾患の診断・治療を目的としたものではありません。つらさが強い・長く続く場合は、無理をせず医療機関や専門家への相談もご検討ください。