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認知行動療法では何をする?基本的な考え方を解説

記事のサマリ

認知行動療法では、落ち込んだ場面で頭に浮かんだ考えに気づき、その考えを書き出して整理し、別の見方や小さな行動を実際の生活で試す、という流れを少しずつ繰り返します。専門家と行う面接では、対話を通じてこの作業を一緒に進め、面接の間に取り組む「宿題(ホームワーク)」を通じて日常での練習を重ねていきます。自分でできるセルフケアとしても、考え方を整理する基本的な部分は取り入れられます。つらさが強いときは、無理をせず専門機関に相談することも大切です。

認知行動療法と聞くと、「具体的にいったい何をするのだろう」と気になる方は多いのではないでしょうか。むずかしい治療を受けるイメージがあるかもしれませんが、行うことの中心は、自分の考え方にやさしく目を向けて整理していく作業です。この記事では、認知行動療法で実際に何をするのかを、流れに沿ってていねいに整理していきます。

この記事で整理できること

  • 認知行動療法で行うことの全体像
  • 気づく・整理する・試すという基本の流れ
  • 専門家との面接での進み方とセルフケアとの違い
  • 宿題(ホームワーク)が果たす役割
  • 実際に取り組む内容の具体例
  • 取り組むときの注意点

認知行動療法では何をする?

認知行動療法でまず行うのは、自分の「考え方(認知)」「気分」「行動」のつながりに目を向けることです。むずかしそうに聞こえるかもしれませんが、特別な才能や知識が必要なわけではありません。

中心にあるのは、落ち込んだりイライラしたりした場面で、頭の中にどんな考えが浮かんでいたのかをていねいに見ていく作業です。その考えを書き出して整理し、別の見方や小さな行動を実際に試してみる。この一連の流れを、日々のなかで少しずつ繰り返していくのが、認知行動療法で行うことの全体像です。

理解を深める:認知行動療法とは?

気づく・整理する・試すの流れとは?

認知行動療法で行うことは、大きく次の3つの段階を行き来する形で進みます。

  1. 気づく — つらくなった場面で、頭に浮かんだ考えや気分に注目する
  2. 整理する — その考えが極端になっていないか、別の見方はないかを書き出して整理する
  3. 試す — 新しい見方や小さな行動を、実際の生活のなかでためしてみる

たとえば、仕事でミスをして落ち込んだとき、「自分はダメだ」という考えに気づく。次に、「本当に全部ダメだったのか」と書き出して整理する。そして、「次はこうしてみよう」と小さく行動を試す。こうした流れを、完璧にではなく、できる範囲で繰り返していきます。うまくいかない日があっても、気づこうとしたこと自体が一歩です。

面接ではどう進む?

専門家と行う認知行動療法は、「面接」と呼ばれる対話の時間を重ねる形で進みます。といっても、一方的に質問されたり指導されたりするわけではありません。最近つらかった場面を手がかりに、専門家とクライアントが協力しながら、一緒に考えを整理していくのが特徴です。

面接では、その人の状態に合わせて進み方が調整されます。話したくないことを無理に話す必要はなく、自分のペースで取り組める場です。基礎的な解説は、日本初の認知行動療法専門の研究機関である国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センターでも公開されています。

セルフケアとの違いも整理しておきましょう。セルフケアは、考え方を整理する基本的な部分を、本やワークシートを使って日常に取り入れる取り組みです。一方、専門家との面接では、状態を見ながら対話で整理を支えてもらえます。基本の考え方は共通していますが、支える人がいるかどうかが大きな違いです。

宿題(ホームワーク)とは?

認知行動療法では、面接と面接の間に取り組む「宿題(ホームワーク)」が大切にされています。学校の宿題のような響きですが、罰やノルマではなく、日常のなかで練習を重ねるための手がかりです。

たとえば、「一週間、落ち込んだ場面とそのときの考えをメモしてみる」といった、無理のない取り組みが宿題になります。日常で練習を重ねるほど、考え方の整理に慣れていきやすくなります。

ただし、できない日があっても問題ありません。やれなかったこと自体も、「なぜ取り組みにくかったのか」を面接で一緒に振り返る材料になります。気負いすぎず、できる範囲で取り入れていく姿勢で十分です。

どんなことに取り組む?

実際に取り組む内容は、その人の状況によってさまざまですが、よく行われるものには次のようなものがあります。

  • 落ち込んだ場面と、そのときの考え・気分を書き出して整理する
  • 「全部ダメ」など極端になった考えに気づき、別の見方を探す
  • 気分が上向きやすい行動を、生活のなかに少しずつ取り入れる
  • 避けていたことに、小さな一歩から取り組んでみる

こうした取り組みは、専門用語では「コラム法」や「行動活性化」などと呼ばれることもあります。自分でできる代表的なワークは、認知行動療法のワークには何がある?でもくわしく整理しています。働く人向けには、厚生労働省のポータルサイトこころの耳でも、セルフケアの教材が提供されています。

取り組むときの注意点は?

最後に、認知行動療法に取り組むときに心にとめておきたいことをお伝えします。

  • 完璧にやろうと気負いすぎない(できる範囲で十分です)
  • 考えを無理に変えようとせず、見方の選択肢を増やすイメージで取り組む
  • 宿題ができなかった自分を責めない
  • つらさが強い・長く続くときは、専門機関への相談も大切にする

認知行動療法で行うことは、自分を追い込むための作業ではなく、自分をラクにするための練習です。「ちゃんとやらなきゃ」と力が入ってしまったら、それも一つの考え方のクセかもしれません。やさしいきもちで、少しずつ続けてみてください。

よくある質問

認知行動療法では毎回むずかしいことをするのですか?
むずかしい特別なことをするわけではありません。中心になるのは、落ち込んだ場面の考えに気づき、書き出して整理し、新しい見方や行動を試す、という作業です。一つひとつは身近なもので、少しずつ慣れていけます。完璧にこなそうとせず、できる範囲で取り組んで問題ありません。
面接では何を話せばよいのでしょうか?
あらかじめ完璧に準備する必要はありません。最近つらかった場面や気になっていることを手がかりに、専門家が対話を通じて一緒に整理を進めてくれます。話したくないことを無理に話す必要はなく、自分のペースで進めていける場です。安心して相談して大丈夫です。
宿題(ホームワーク)はやらないといけませんか?
宿題は、罰やノルマではなく、日常での練習を支える手がかりです。取り組むほど考え方の整理に慣れやすくなりますが、できない日があっても問題ありません。やれなかったこと自体も、面接で一緒に振り返る材料になります。気負いすぎず取り入れてみてください。
セルフケアと専門家の面接は、どう違いますか?
基本的な考え方は共通していますが、面接では専門家が状態を見ながら対話で整理を支えてくれる点が異なります。セルフケアは日常で気軽に取り入れられる一方、つらさが強いときは一人で抱えにくいこともあります。状況に応じて使い分け、必要なときは専門機関に相談すると安心です。

次にできること

参考・出典

  1. 国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター「認知行動療法とは」
  2. 厚生労働省 こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト

※ 本記事はセルフケア・教育を目的とした情報であり、特定の疾患の診断・治療を目的としたものではありません。つらさが強い・長く続く場合は、無理をせず医療機関や専門家への相談もご検討ください。