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マイナス化思考とは?良いことを受け取れないクセを解説

記事のサマリ

マイナス化思考とは、うまくいったことや褒められたことを、「たまたま」「運がよかっただけ」と打ち消して、良い面を素直に受け取れなくなる考え方のクセです。成果や努力を自分の手柄として認めにくくなるため、頑張っても自信につながりにくく、気分も上がりにくくなることがあります。気づいたときは、「本当にたまたまだろうか」「自分がした工夫はなかったか」と問い直してみると、受け取り方が少しずつ変わっていきます。謙虚で真面目な人ほど出やすいクセなので、自分を責める必要はありません。

「うまくいったのは、たまたま運がよかっただけ」。褒められても、心のどこかでそう打ち消してしまうことはありませんか。これは、謙虚で真面目な人ほど起こりやすい考え方です。性格が悪いわけでも、卑屈なわけでもありません。この記事では、マイナス化思考の仕組みをていねいに見ながら、良いことを少しずつ受け取れるようになるヒントを整理していきます。

この記事で整理できること

  • マイナス化思考の意味と心理的な背景
  • マイナス化思考が起こりやすい場面
  • マイナス化思考が強いと起こりやすいこと
  • マイナス化思考に気づくための視点
  • マイナス化思考をゆるめる具体的な方法
  • 関連するワークと注意点

マイナス化思考とは?

マイナス化思考とは、うまくいったことや褒められたことを、「たまたま」「運がよかっただけ」と良い面を打ち消してとらえてしまう考え方のクセです。専門的には「プラスの否定(disqualifying the positive)」とも呼ばれ、認知行動療法でよく扱われる代表的な考え方のクセの一つです。

このクセが強くなると、目の前にある良い出来事が、自分にとっての「成果」として残りにくくなります。たとえば、企画が評価されても「あの場の流れで通っただけ」、感謝されても「お世辞だろう」と受け取ってしまう。そんなふうに、せっかくのプラスを、わざわざマイナスや無に変換してしまいやすくなります。

マイナス化思考は、どんな場面で起こりやすい?

マイナス化思考は、とくに次のような場面で顔を出しやすくなります。

  • 仕事の成果を上司や同僚から褒められたとき
  • 試験や目標を達成できたとき
  • 「ありがとう」「助かった」と感謝されたとき
  • 自分なりに頑張って、何かをやり遂げたとき

どれも、本来なら自信につながるはずの場面です。けれど、真面目で謙虚な人ほど、その良さを素直に受け取りにくくなることがあります。「自分なんてまだまだ」という気持ちが強い人ほど、成果を自分の手柄として認めることに、ためらいを感じやすいのです。

マイナス化思考が強いと、何が起こりやすい?

「良いこと=たまたま」と打ち消しやすくなるため、次のようなことが起こりやすくなります。

  • 頑張っても、達成感や満足感が積み重なりにくい
  • 褒められても素直に喜べず、かえって落ち着かなくなる
  • 成功体験が自信につながらず、いつも不安が残る
  • できなかった部分にばかり目が向いてしまう

その結果として、努力しているのに気分が上がらない、いつまでも自信が持てない、といった状態につながることがあります。ただ、ここまで読んだ時点で「これは考え方のクセなんだ」と知ることができました。それだけでも、見え方は変わっていきます。

マイナス化思考に気づくには?

まずは、気づくことから始めます。良いことがあったときに、頭の中に次のような言葉が浮かんできたら、マイナス化思考が顔を出しているサインかもしれません。

「たまたま」「運がよかっただけ」「お世辞だろう」「誰でもできる」「まぐれ」

良い出来事のあとに、「いま、自分でその良さを打ち消していないか」と振り返ってみてください。気づくだけで十分です。無理に「もっと喜ばなきゃ」と力む必要はありません。

マイナス化思考をゆるめるには?

気づけたら、次はやさしく問い直してみましょう。次の3つの問いかけが役立ちます。

  1. 本当にたまたまだろうか —「自分がした準備や工夫は、まったくなかったか」
  2. 同じことを大切な人が言われたら —「友人が褒められたとき、『運だけ』と思うか」
  3. 事実として何があったか —「結果として、できたことは何か」

書き出してみると、受け取り方が変わってくることがあります。

マイナス化思考の考えゆるめた考え
企画が通ったのは運がよかっただけ運もあるが、準備をした自分の工夫もあった
褒められたのはお世辞だろう社交辞令もあるかもしれないが、評価してくれた事実は残る
この程度、誰でもできる誰でもできることでも、自分はちゃんとやり遂げた

実際に試す:コラム法を使うと、この問い直しを書き出しながら練習できます。なお、認知行動療法の考え方の基礎は、国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センターでも解説されています。働く人向けには、厚生労働省のこころの耳でもセルフケアの教材が提供されています。

マイナス化思考と向き合うときの注意点は?

最後にひとつだけ。マイナス化思考を「直すべき欠点」としてとらえてしまうと、「良いことを受け取れない自分はダメだ」と、また自分を打ち消す材料にしてしまうことがあります。

あくまで、気づいて、良いことを少しずつ受け取れるようにしていくものです。一気に変える必要はありません。そして、つらさが強い・長く続くと感じるときは、一人で抱えこまず、専門機関への相談も大切にしてください。

よくある質問

マイナス化思考と謙虚さは違うものですか?
近いようで、少し違います。謙虚さは、良い面も受け取ったうえで、おごらずにふるまう姿勢です。一方でマイナス化思考は、良い面そのものを心の中で打ち消してしまう状態を指します。表向きは同じ「控えめ」に見えても、自分の内側で成果を受け取れているかどうかが違います。
良いことを素直に喜ぶのは、調子に乗っているようで苦手です。
そう感じる方は少なくありません。けれど、できたことを認めることと、おごり高ぶることは別のものです。「ここはうまくいった」と事実として受け取るのは、自分への正当な評価です。喜びを少し受け取ってみても、調子に乗ったことにはなりません。安心して受け取って大丈夫です。
ゆるめようとしても、つい「でも運だし」と思ってしまいます。
それは自然なことです。長く慣れ親しんだ考え方は、すぐには変わりません。ただ、「また打ち消しているな」と気づけた時点で、すでに前進しています。コラム法などで書き出して練習を重ねると、少しずつ受け取りやすくなります。焦らず取り組んで問題ありません。

次にできること

参考・出典

  1. 国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター
  2. 厚生労働省 こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト

※ 本記事はセルフケア・教育を目的とした情報であり、特定の疾患の診断・治療を目的としたものではありません。つらさが強い・長く続く場合は、無理をせず医療機関や専門家への相談もご検討ください。