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認知の歪みに気づくには?日常で使えるチェック方法

記事のサマリ

認知の歪みに気づくコツは、考えそのものを直そうとするより、「強い言葉を使っていないか」「体がどう反応しているか」といったサインに目を向けることです。落ち込んだ場面で頭に浮かんだ言葉を書き出してみると、自分のクセが見えやすくなります。気づきは一度で完璧にできるものではなく、少しずつ練習を重ねていくものです。まず気づけたこと自体が、十分な一歩です。

「考え方のクセがあるのはわかった。でも、自分のクセには気づけない」。そう感じる方は少なくありません。認知の歪みは、自分にとっては自然な考えに感じられるため、気づきにくいのが特徴です。この記事では、日常のなかで使えるチェックの方法を、実際の手順に沿ってていねいに整理していきます。

この記事で整理できること

  • 認知の歪みに気づきにくい理由
  • 気づくための合図(強い言葉に注目する)
  • 書き出して気づくコラム法の使い方
  • 場面を振り返って気づくコツ
  • 体や行動のサインから気づく方法
  • 気づいたあとにどうするか

なぜ、認知の歪みには気づきにくい?

認知の歪み(考え方のクセ)にいちばん気づきにくい理由は、それが自分にとっては「ごく自然な考え」に感じられるからです。とっさに浮かぶ考えは、まるで事実のように頭の中をすり抜けていきます。「失敗した、もうダメだ」という考えも、その瞬間には「クセ」ではなく「現実そのもの」に見えてしまうのです。

しかも、気分が落ち込んでいるときほど、考えるスピードは速く、立ち止まる余裕も少なくなります。だからこそ、気づくためには「考えの中身を直そう」とするより、まず考えが浮かんだことに目を向けることから始めると、ぐっと取り組みやすくなります。

気づくための合図は? 強い言葉に注目する

気づくための、いちばんわかりやすい合図があります。それは、頭の中で使っている「強い言葉」です。次のような言葉が浮かんできたら、考え方のクセが顔を出しているサインかもしれません。

「全部」「絶対」「いつも」「みんな」「まったく」「もう無理」「〜すべき」「どうせ」

これらの言葉は、物事を極端に決めつけているときに出やすいものです。落ち込んだとき、「いま、こうした言葉を使っていないか」と振り返ってみてください。打ち消す必要はありません。「あ、いま強い言葉を使ったな」と気づくだけで、もう十分な一歩です。

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書き出して気づくには? コラム法を使う

頭の中だけで考えていると、考えはぐるぐると回り続けて、形が見えません。そこで役立つのが、「書き出す」という方法です。紙やスマートフォンのメモに書くだけで、考えを少し離れたところから眺められるようになります。

まずは、シンプルな3つの欄から始めてみましょう。

項目書くこと
出来事何があったか(事実だけ)
気分そのときの気持ちと、強さ
浮かんだ考え頭に浮かんだ言葉

書き終えたら、「浮かんだ考え」の欄を読み返してみてください。さきほどの「強い言葉」が混ざっていないか、事実と決めつけが入りまじっていないか。書いて眺めることで、その場では見えなかったクセが、ふっと見えてくることがあります。この書き出しを練習しやすい形にしたのが、コラム法です。

場面を振り返ると、何が見えてくる?

その場ではなかなか気づけなくても、あとから振り返ると気づけることがたくさんあります。リアルタイムで気づくのは、じつは上級者向け。まずは、一日の終わりに「今日いちばん気持ちが動いた場面」を一つ思い出してみることから始めましょう。

振り返るときは、次のように問いかけてみてください。

  1. あのとき、どんな考えが浮かんだか
  2. その考えは、事実だったか、それとも受け取り方だったか
  3. もし同じ場面に友人がいたら、自分は友人になんと声をかけるか

とくに3つ目の問いは、自分への厳しい採点に気づく助けになります。同じ状況でも、人にはやさしく、自分にはきびしくなっていないか。その差に、考え方のクセがあらわれていることが少なくありません。

体や行動のサインからも気づける?

考えそのものはつかみにくくても、体や行動には変化があらわれます。「考えに気づく」のがむずかしいときは、こうしたサインを入り口にすると気づきやすくなります。

  • 肩や奥歯に力が入っている、呼吸が浅くなっている
  • 急にスマートフォンをいじり始める、その場から逃げたくなる
  • 食欲や眠りのリズムが、いつもと違う

こうしたサインに気づいたら、「いま、頭の中で何を考えていたかな」とさかのぼってみてください。体の反応は、考えに気づくための、わかりやすい目印になってくれます。働く人向けには、厚生労働省のポータルサイトこころの耳でも、ストレスのサインへの気づきに役立つ情報が公開されています。

気づいたあとは、どうすればいい?

気づけたら、それで十分に前進しています。そのうえで、もう一歩だけ進めたいときは、考えを消そうとするのではなく、別の見方を一つだけ添えてみるとよいでしょう。

たとえば「全部ダメだった」と気づいたら、「本当に全部だろうか。できた部分はなかったか」と、やさしく一つ問い直す。それだけで、気持ちは少し扱いやすくなります。なお、こうした認知行動療法の考え方の基礎は、国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センターでも解説されています。

気づきは、自分を責めるためのものではありません。「またクセが出たな」と気づけたら、それはもう、自分を少し客観的に眺められている証拠です。うまく気づけない日があっても問題ありません。つらさが強い・長く続くと感じるときは、一人で抱えこまず、専門機関への相談も大切にしてください。

よくある質問

気づこうとしても、自分の考え方のクセが見つかりません。
それは自然なことです。認知の歪みは自分にとって自然な考えに感じられるため、その場では気づきにくいものです。まずは、落ち込んだ出来事を一つ選んで、あとから振り返ってみてください。リアルタイムで気づけなくても、振り返りから気づけることがたくさんあります。焦らず取り組んで問題ありません。
毎回書き出すのは大変です。続けるコツはありますか?
毎回でなくて大丈夫です。とくに気持ちが大きく動いた日だけ、一行メモを残すくらいから始めると無理がありません。書く形にこだわらず、スマートフォンのメモに浮かんだ言葉を打ち込むだけでも十分です。続けやすい形を、自分で選んでいくことが大切です。
気づいたあと、その考えを消したほうがいいのでしょうか?
消す必要はありません。気づくことの目的は、考えをなくすことではなく、別の見方もあると思い出せるようにすることです。考えはそのままに、「ほかの見方はないか」と一つ添えてみる。それだけで、気持ちは少し扱いやすくなります。

次にできること

参考・出典

  1. 国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター
  2. 厚生労働省 こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト

※ 本記事はセルフケア・教育を目的とした情報であり、特定の疾患の診断・治療を目的としたものではありません。つらさが強い・長く続く場合は、無理をせず医療機関や専門家への相談もご検討ください。