認知行動療法の用語には何がある?初心者向けにやさしく解説
認知行動療法の用語には、考え方を指す「認知」、とっさに浮かぶ「自動思考」、心の奥にある考え方の土台「スキーマ」、ストレスへの対処を意味する「コーピング」などがあります。さらに、不安な状況に少しずつ慣れていく「曝露」、考えを実際に試す「行動実験」、自分の状態を記録する「セルフモニタリング」なども基本用語です。むずかしく感じる言葉も、意味がわかると認知行動療法の流れが見えてきます。気になる症状があるときは、専門機関への相談も大切です。
認知行動療法について調べると、「自動思考」「スキーマ」「コーピング」といった、聞き慣れない言葉が次々と出てきて、とまどってしまうことはありませんか。じつは、一つひとつの用語の意味がわかると、認知行動療法がどんな仕組みなのかが、ぐっと理解しやすくなります。この記事では、はじめての方に向けて、基本となる用語をやさしく整理していきます。
この記事で整理できること
- 認知行動療法の用語を学ぶと、全体像が理解しやすくなる
- 「認知・行動・気分」という3つの土台となる言葉の意味
- 「自動思考」「スキーマ」など、考え方にまつわる用語
- 「コーピング」「曝露」など、対処や練習にまつわる用語
- 「セルフモニタリング」「心理教育」など、進め方にまつわる用語
- 用語を入り口に、次に学ぶとよいテーマ
認知行動療法の用語を知ると、何がよいの?
認知行動療法を学ぼうとすると、専門的な言葉が次々に出てきて、入り口でつまずいてしまう方も少なくありません。けれども、用語は理解をはばむ壁ではなく、むしろ全体像をつかむための地図のようなものです。
一つひとつの言葉が「何を指しているのか」がわかると、認知行動療法がどんな流れで進んでいくのかが見えてきます。この記事では、基本となる用語を、考え方の土台・考え方にまつわる言葉・対処や練習にまつわる言葉・進め方にまつわる言葉、という順番でやさしく整理していきます。
認知行動療法そのものの全体像は、認知行動療法とは?意味・やり方・注意点をわかりやすく解説でていねいに解説しています。あわせて読むと、用語の位置づけがより理解しやすくなります。
まず押さえたい3つの土台の言葉とは?
認知行動療法の出発点になるのが、「認知」「行動」「気分(感情)」という3つの言葉です。この3つは、たがいに影響し合っていると考えられています。
| 用語 | やさしい意味 |
|---|---|
| 認知 | ものごとの受け取り方や考え方。同じ出来事でも、人によって受け取り方は変わります。 |
| 行動 | 実際にとる動きや振る舞い。考えや気分の影響を受けて変わります。 |
| 気分・感情 | うれしい・つらいといった、心のなかにわきあがる気持ちのことです。 |
たとえば、ある出来事を「うまくいかない」と受け取る(認知)と、気持ちが沈み(気分)、行動を控えてしまう(行動)、というように三者はつながっています。この3つのつながりに注目するのが、認知行動療法の基本です。
考え方にまつわる用語には何がある?
次に、「考え方」をより細かく見ていくための用語です。代表的なものを整理します。
定義リストの形で見てみましょう。
- 自動思考 ある場面で、意識しなくてもとっさに頭に浮かんでくる考えのことです。「どうせ無理だ」といった一言が、その例にあたります。
- スキーマ 自動思考のさらに奥にある、考え方の土台や思い込みのことです。長い時間をかけてつくられた、その人なりのものの見方の基盤と捉えられます。
- 認知の歪み(考え方のクセ) 考えが極端なほうへかたよりやすい傾向のことです。誰にでもあるもので、性格の問題ではありません。
自動思考は気分の動きと深くかかわっています。詳しくは自動思考とは?気分が落ち込む仕組みと気づき方を解説を、考え方のクセについては認知の歪みとは?10種類の考え方のクセを具体例で解説をご覧ください。用語どうしは、つながり合っていると意識すると理解が進みます。
対処や練習にまつわる用語には何がある?
認知行動療法では、考えに気づくだけでなく、実際に試したり対処したりする工夫も大切にします。そのための用語が次のものです。
| 用語 | やさしい意味 |
|---|---|
| コーピング | ストレスにうまく対処するための工夫や方法のことです。気晴らしや相談など、さまざまな形があります。 |
| 曝露(エクスポージャー) | 不安を感じる状況に、少しずつ段階的に慣れていく方法です。専門家と計画的に進めるのが一般的です。 |
| 行動実験 | 「こうなるかも」という考えが本当かどうかを、実際の行動で確かめてみる試みのことです。 |
これらは、頭のなかだけで考えるのではなく、生活のなかで小さく試していくための手立てです。とくに曝露は、一人で急に取り組むものではなく、無理のない範囲で進めることが大切にされています。
進め方にまつわる用語には何がある?
最後に、認知行動療法をどのように進めていくか、という場面で使われる用語です。
- セルフモニタリング 自分の考えや気分、行動を観察して記録していくことです。状態を「見える化」することで、気づきが得られやすくなります。
- 心理教育 ストレスや気分の仕組みについて、わかりやすく学ぶことを指します。仕組みを知ること自体が、安心や対処の助けになります。
- ホームワーク 学んだことを日常で試してみる、いわば宿題のような取り組みです。完璧にこなすことよりも、続けることが大切とされています。
これらは、実際のワークと深くつながっています。どんな取り組みがあるのかは、認知行動療法のワークには何がある?で具体的に紹介しています。基礎的な解説は、国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センターや、働く人向けのこころの耳でも公開されています。
用語を学んだら、次は何をすればいい?
用語の意味がわかってきたら、次は全体の流れや、実際の取り組みに触れてみるのがおすすめです。知識は、使ってみてはじめて実感に変わっていきます。
用語は、認知行動療法を理解するための入り口にすぎません。すべてを一度に覚えようとせず、気になった言葉から少しずつなじんでいけば十分です。学びを進めるなかで、つらさが強いと感じるときや、不安が長く続くときは、無理をせず専門機関への相談も大切にしてください。
よくある質問
認知行動療法の用語は、すべて覚える必要がありますか?
「認知」と「自動思考」は何が違うのですか?
「曝露」は、こわいことに無理に向き合う方法ですか?
用語を学んだあとは、何から始めればよいですか?
参考・出典
※ 本記事はセルフケア・教育を目的とした情報であり、特定の疾患の診断・治療を目的としたものではありません。つらさが強い・長く続く場合は、無理をせず医療機関や専門家への相談もご検討ください。