問題解決技法とは?悩みを整理するステップを解説
問題解決技法とは、漠然と悩んでいる状態を「解きほぐせる課題」としてとらえ直し、解決の案を出して試し、振り返るまでを順番に進めていく認知行動療法のワークです。頭の中だけで考えると堂々めぐりになりがちな悩みを、問題の明確化・案を出す・選ぶ・試す・振り返るという5つのステップに分けることで、扱いやすい形に整理していきます。具体的でコントロールできる悩みに向いた方法です。診断や治療に代わるものではないため、つらさが強いときは専門機関への相談も大切です。
やるべきことや困りごとが頭の中に積み重なって、どこから手をつければいいのかわからなくなる。そんなとき、悩みを一度すべて書き出し、順番に整理していくだけで、気持ちが少し軽くなることがあります。問題解決技法は、その整理のしかたを誰でも使える形にした、認知行動療法のワークの一つです。この記事では、問題解決技法の意味から具体的なステップ、続けるコツまでを、はじめての方にもわかるようにていねいに整理していきます。
この記事で整理できること
- 問題解決技法の基本的な意味と、何のために使うのか
- どんな悩みのときに役立ち、どんな悩みには向きにくいのか
- 問題の明確化から振り返りまでの5つのステップ
- 仕事や生活を題材にした具体的な進め方の例
- 無理なく続けるためのコツ
- セルフケアとして取り組むときの注意点
問題解決技法とは?
問題解決技法とは、漠然とした悩みを「解きほぐせる課題」としてとらえ直し、解決の案を出して試し、振り返るまでを順番に進めていく認知行動療法のワークです。問題そのものに目を向けて、具体的な行動で状況を扱いやすくしていく点が特徴です。
困りごとが頭の中にあるあいだは、いくつもの心配が混ざり合って、何に悩んでいるのかさえ見えにくくなりがちです。問題解決技法では、悩みをいったん外に書き出し、「いま自分が動かせること」に焦点をしぼって、段階を追って整理していきます。考え方を見直すワークが「受け取り方」に注目するのに対して、こちらは「実際の行動」に注目するワークだと考えるとわかりやすいかもしれません。
基礎的な考え方は、国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センターでも解説されています。
どんなときに役立つ?
問題解決技法が力を発揮しやすいのは、自分の工夫で動かせる、具体的な困りごとに向き合うときです。たとえば、次のような場面が当てはまります。
- やるべきことが多すぎて、どこから手をつければいいかわからない
- 仕事や家事の段取りがうまく回らず、いつも時間に追われている
- 人に頼みごとをしたいけれど、切り出し方に迷っている
一方で、他人の気持ちや過去に起きた出来事など、自分ではコントロールしにくいことは、この方法だけで動かそうとすると、かえって苦しくなることがあります。その場合は、考え方を整理するコラム法など、別のワークのほうが合うこともあります。まずは「これは自分の行動で変えられるか」を見分けることが、最初の手がかりになります。
どんなステップで進める?
問題解決技法は、大きく5つのステップに分けて進めます。一つずつ順番にたどるだけなので、むずかしく考えなくて大丈夫です。
| ステップ | やること |
|---|---|
| 1. 問題の明確化 | 悩みを具体的に書き出し、何が困っているのかをはっきりさせる |
| 2. 案を出す | 解決のアイデアを、質より量を意識して自由に出す |
| 3. 選ぶ | 出した案を見比べ、いまの自分に合うものを選ぶ |
| 4. 試す | 選んだ案を、小さく実際にやってみる |
| 5. 振り返る | やってみてどうだったかを確かめ、次にどうするか考える |
ポイントは、案を出すときに良し悪しをいったん脇に置くことです。「現実的かどうか」を最初から考えすぎると、アイデアが出にくくなります。まずはたくさん出してから、あとで選べば十分です。そして、一度で完璧に解決しようとせず、試して振り返り、また次の案へ、という流れを繰り返していきます。
具体的にはどう進める?
イメージがわくように、「仕事のタスクが回らず、いつも残業になってしまう」という悩みを例に、5ステップを追ってみます。あくまで一例なので、自分の状況に置きかえて使ってみてください。
- 問題の明確化:午後に問い合わせ対応が集中し、自分の作業が後ろ倒しになっている
- 案を出す:朝に重要な作業をすませる/問い合わせ対応の時間をまとめる/一部を同僚に相談する/返信のひな形を用意する
- 選ぶ:まずは「朝に重要な作業をすませる」を試すことにする
- 試す:今週は、出社後30分を作業時間にあててみる
- 振り返る:3日続けたら、午後に少し余裕ができた。来週は問い合わせ対応の時間もまとめてみる
このように、大きな悩みも小さな一歩に分けると、動き出しやすくなります。最初の案がうまくいかなくても、別の案がいくつも残っているので、次に切りかえていけます。動けないことそのものに悩んでいる場合は、行動活性化とは?もあわせて読むと、進め方の参考になります。
続けるコツは?
問題解決技法は、気負わずに使えると、日々の困りごとに対処しやすくなります。次のような工夫が役立ちます。
- 大きな問題は、さらに小さく分けてから取り組む
- 案は「うまくいくか」を考える前に、まず数を出す
- 最初の一歩は、確実にできそうな小さなことにする
- うまくいかなくても、振り返りの材料が増えたと考える
大切なのは、一回で解決することよりも、試して振り返る流れを少しずつ重ねることです。働く人向けには、厚生労働省のポータルサイトこころの耳でも、ストレスへの対処やセルフケアの教材が公開されています。あわせて参考にしてみてください。
取り組むときの注意点は?
最後に、セルフケアとして取り入れるときに心にとめておきたいことをお伝えします。
- すべての悩みを解決しようと気負いすぎない(動かせることに集中する)
- 自分でコントロールしにくいことを、無理に解決しようとしない
- 一度でうまくいかなくても、自分を責めない
- 案が浮かばない日があっても、それで失敗ではない
問題解決技法は、自分を追い立てるための道具ではなく、絡まった悩みをそっと解きほぐすための道具です。考えていてつらくなったときは、いったん手を止めて大丈夫です。悩みが大きく一人で抱えきれないと感じるときや、つらさが強い・長く続くときは、無理をせず専門機関への相談も大切にしてください。
よくある質問
問題解決技法とコラム法は何が違うのですか?
どんな悩みでも問題解決技法で解決できますか?
案を試してもうまくいかなかったときはどうすればよいですか?
一人でやってもよいのですか?
参考・出典
※ 本記事はセルフケア・教育を目的とした情報であり、特定の疾患の診断・治療を目的としたものではありません。つらさが強い・長く続く場合は、無理をせず医療機関や専門家への相談もご検討ください。