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リフレーミングとは?別の見方を見つける練習を解説

記事のサマリ

リフレーミングとは、ある出来事を眺めるときの「枠組み(フレーム)」を変えて、別の見方も探してみる認知行動療法の練習です。同じ出来事でも、どの枠から見るかによって、わきあがる気分や次の行動は変わります。無理にポジティブに言い換えるのではなく、いまの見方も認めたうえで「ほかの見方はないか」を増やしていくのがコツです。診断や治療に代わるものではないため、つらさが強いときは専門機関への相談も大切です。

「自分はダメだ」「もう取り返しがつかない」。そんな考えが頭をめぐると、ひとつの見方にとらわれて、身動きが取りにくくなることがあります。リフレーミングは、その見方を別の角度からそっと眺めなおし、選択肢を増やしていく練習です。この記事では、リフレーミングの意味から、別の枠組みを探す問いの立て方、言い換えの例までを、はじめての方にもわかるようにていねいに整理していきます。

この記事で整理できること

  • リフレーミングの基本的な意味と、何のために使うのか
  • ポジティブ変換との違いと、混同しやすい点
  • 別の枠組みを探すための問いの立て方
  • 仕事や人間関係を題材にした言い換え例
  • 無理なく続けるためのコツ
  • セルフケアとして取り組むときの注意点

リフレーミングとは?

リフレーミングとは、ある出来事を眺めるときの「枠組み(フレーム)」を意識して変え、別の見方も探してみる認知行動療法の練習です。「フレーム」とは、写真や絵を切り取る額縁のようなもので、同じ風景でも、どこを切り取るか・どの角度から見るかによって、印象が大きく変わります。わたしたちの考え方にも、こうした見えない枠があります。

たとえば「失敗してしまった」という出来事を、「自分はダメな人間だ」という枠で見るのと、「今回うまくいかなかった部分が一つ見つかった」という枠で見るのとでは、わきあがる気分も次の行動も変わってきます。リフレーミングでめざすのは、正しい答えを一つに決めることではなく、見方の選択肢を増やすことです。いまの見方を消すのではなく、その隣に別の見方も置いてみる、というイメージです。

基礎的な考え方は、国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センターでも解説されています。

ポジティブ変換との違いは?

リフレーミングは、よく「ポジティブに考えること」と同じだと受け取られますが、ここには少し注意が必要です。ポジティブ変換は、つらい出来事を明るい意味へ言い換えることを指す場合が多く、ときに「無理にでも前向きに」という力みにつながりがちです。

リフレーミングが大切にするのは、明るくすること自体ではなく、見方の枠組みを増やすことです。つらい気持ちを「なかったこと」にするのではなく、いまの見方も認めたうえで、ほかの見方も並べて置いておきます。無理にポジティブにしようとすると、かえって「そう思えない自分」を責めてしまうこともあります。明るい結論を急がず、見方の幅をそっと広げる、と捉えておくと取り組みやすくなります。

リフレーミングのやり方は?(別の枠組みを探す問い)

むずかしく考える必要はありません。気持ちが揺れた場面で、いまの見方に気づいたうえで、別の枠組みを探す「問い」を自分に投げかけていきます。たとえば、次のような問いが手がかりになります。

  1. 別の見方 — この出来事に、ほかの受け取り方はないだろうか
  2. 親しい人なら — 大切な友人が同じ状況なら、自分は何と声をかけるだろう
  3. 時間の幅 — 一年後・数年後の自分は、これをどう振り返るだろう
  4. 事実と解釈 — これは「事実」だろうか、それとも自分の「解釈」だろうか
  5. 役立つ見方 — どの見方なら、いまの自分が少しラクに動けるだろう

すべての問いを使う必要はありません。ピンとくるものを一つ選び、思い浮かんだことを短く書き出すだけで十分です。書き出すと、頭の中だけよりも見方を一歩離れて眺められます。流れに沿って書きたいときは、コラム法とは?の「別の見方」の欄を使うと取り組みやすくなります。

言い換え例にはどんなものがある?

イメージがわくように、仕事と人間関係の場面を例に挙げます。あくまで一例なので、自分の言葉に置きかえて使ってみてください。

もとの見方(とっさの考え)別の枠組みを探した見方
心配性で、いつも不安になってしまう先のリスクに気づきやすく、備えができる面もある
会議で発言できず、自分はダメだ人の話をよく聞いて、考えてから話すタイプかもしれない
仕事が遅くて迷惑をかけているていねいに進めようとしている部分もある
断れなくて損ばかりしている相手の気持ちをくみ取ろうとする力がある

どの例も、もとの見方を否定して消しているわけではありません。同じ出来事に、別の枠も置けることに気づくのがポイントです。ネガティブな見方を無理に塗りつぶすのではなく、見方の選択肢が増えると、気持ちの扱い方に少し余裕が生まれます。

リフレーミングを続けるコツは?

リフレーミングは、続けるほど「いつもの枠」に気づきやすくなります。とはいえ、気負うと長続きしません。次のような工夫が役立ちます。

  • 気持ちが大きく動いた場面だけ、一つの問いを試す
  • うまい言い換えを探さず、まず別の見方を一つ書ければよしとする
  • スマートフォンのメモなど、すぐ書ける場所を決めておく
  • 別の見方を書いたあと、気分が少しでもやわらいだか確かめる

大切なのは、量よりも見方の幅を少しずつ広げる機会を重ねることです。働く人向けの教材は、厚生労働省のこころの耳でも公開されています。

リフレーミングの注意点は?

最後に、セルフケアとして取り入れるときに心にとめておきたいことをお伝えします。

  • 無理にポジティブな見方へ言い換えようとしない
  • いまの見方や、つらい気持ちを「いけないもの」として否定しない
  • 別の見方が思い浮かばない日があっても、それで失敗ではない
  • うまくできない自分を責めない

リフレーミングは、自分を励ましつづけるための道具ではなく、ひとつの見方にとらわれすぎないための道具です。別の見方が見つからないときは、いったん手を止めて大丈夫です。つらさが強いときや長く続くときは、無理をせず専門機関への相談も大切にしてください。

よくある質問

リフレーミングとポジティブ変換は同じものですか?
似ているようで少し違います。ポジティブ変換は「つらい」を「成長のチャンス」のように、明るい意味へ言い換えることを指す場合が多いです。一方リフレーミングは、明るくすること自体が目的ではなく、見方の枠組みを増やすことが目的です。今の見方を否定せず、別の見方も並べて置いておくイメージだと、無理なく取り組めます。
うまく別の見方が思い浮かびません。どうすればよいですか?
思い浮かばない日があっても自然なことです。「親しい人が同じ状況なら何と声をかけるか」「数年後の自分ならどう見るか」といった問いを使うと、別の枠が見つかりやすくなります。それでも出てこないときは、無理に探さず、いまの見方をそのまま書きとめておくだけでも十分な一歩です。
リフレーミングをすれば、つらい気持ちはなくなりますか?
つらい気持ちをなくすための練習ではありません。ネガティブな感情にも、自分を守る大切な役割があります。リフレーミングでめざすのは、ひとつの見方に固まりすぎていないかを確かめ、扱いやすくすることです。気分の点数が少しやわらいだら、それで十分な変化と捉えてみてください。
コラム法とはどう関係していますか?
リフレーミングは、コラム法や思考記録表の「別の見方」を書く欄で実際に行っていることでもあります。ワークの形に沿って書き出すと取り組みやすいので、まずコラム法で流れをつかみ、その中でリフレーミングの問いを使ってみる、という進め方がおすすめです。

次にできること

参考・出典

  1. 国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター「認知行動療法とは」
  2. 厚生労働省 こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト

※ 本記事はセルフケア・教育を目的とした情報であり、特定の疾患の診断・治療を目的としたものではありません。つらさが強い・長く続く場合は、無理をせず医療機関や専門家への相談もご検討ください。