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認知の歪みをゆるめるには?無理なく見方を広げる方法

記事のサマリ

認知の歪みをゆるめるとは、考え方のクセをなくすことではなく、極端になった見方に気づいて選択肢を増やし、扱いやすくしていくことです。落ち込んだときに「別の見方はないか」「その考えを支える根拠と、合わない事実はあるか」とやさしく問い直し、紙に書き出して整理すると、見え方が少しずつ広がっていきます。一度で変える必要はなく、気づいて問い直す練習を重ねていくものです。つらさが強いときは、無理をせず専門機関への相談も大切にしてください。

「考え方のクセに気づいたけれど、ここからどうすればいいの?」と感じることはありませんか。気づいたあと、つい「早く直さなきゃ」と力が入ってしまう方は少なくありません。けれど、認知の歪みは無理になくすものではなく、少しずつゆるめて扱いやすくしていくものです。この記事では、その具体的なやり方を、ていねいに整理していきます。

この記事で整理できること

  • 認知の歪みを「ゆるめる」とは何かという考え方
  • 別の見方を探すための問いかけ
  • 考えを支える根拠と、合わない事実を見る視点
  • コラム法を使って書き出す手順
  • リフレーミングで見え方を広げる方法
  • うまくいかないときの捉え方と注意点

認知の歪みを「ゆるめる」とは?

認知の歪みを「ゆるめる」とは、考え方のクセをなくすことではなく、扱いやすくすることです。白黒思考やべき思考といったクセは、性格の弱さではなく、疲れているときやストレスが強いときに誰にでも現れる自然な反応です。だからこそ、消そうとするより、極端になりすぎた見方に気づいて、ほどよい幅に戻していくイメージで向き合うほうがうまくいきます。

ここで気をつけたいのは、ゆるめることと「ポジティブに考えること」は違う、という点です。無理に明るい考えに置き換えるのではなく、事実に照らして、より現実に近い見方の選択肢を増やしていく。それが、ここでいう「ゆるめる」の中身です。

理解を深める:認知の歪みとは?

別の見方を探すには、どう問いかける?

気づいたあとは、自分にやさしく問いかけてみましょう。考えを否定するのではなく、見方の幅を広げるための質問です。

  • 同じ出来事を、別の角度から見るとどう見えるだろう?
  • 大切な友人が同じ状況なら、自分はなんと声をかけるだろう?
  • 半年後の自分が振り返ったら、これをどう感じるだろう?

こうした問いかけは、いま一つに固まってしまった見方を、そっとほどく手がかりになります。正解を出すための質問ではなく、選択肢を増やすための質問だと考えると、気負わずに取り組めます。すぐに答えが浮かばなくても、問いかけてみたこと自体が一歩です。

根拠と反証を、どう見ればいい?

別の見方が浮かびにくいときは、いまの考えを「事実」と照らし合わせてみる方法が役立ちます。具体的には、次の二つを書き出してみます。

  1. その考えを支える根拠(そう思える事実)
  2. その考えに合わない事実(反証)

たとえば「自分は仕事ができない」という考えなら、根拠として思い浮かぶことだけでなく、「先週は期限内に終えられた」「同僚に感謝されたことがある」といった、合わない事実も探していきます。両方を並べると、最初の考えが少し極端だったと見えてくることがあります。大切なのは、片方だけでなく両方を見ることです。

コラム法で書き出すには?

問いかけや根拠・反証は、頭の中だけで行うと堂々めぐりになりやすいものです。そこで役立つのが、紙に書き出して整理する「コラム法」です。基本の流れは次のとおりです。

書き出す項目書く内容の例
出来事会議で発言したが反応が薄かった
そのときの気分落ち込み・不安(70点)
浮かんだ考えきっと的外れだったんだ
根拠と反証反応は薄かった/後で賛成意見ももらえた
ほどよい見方伝わりにくかったが、的外れとは限らない

書き出すことで、考えと事実の距離が見えやすくなります。実際に試す:コラム法思考記録表を使うと、この手順を無理なく練習できます。なお、認知行動療法の基礎は国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センターでも解説されています。

リフレーミングで見え方を広げるには?

リフレーミングとは、出来事を見る「枠(フレーム)」をずらして、別の意味を見つけてみることです。事実は変えずに、捉え方の幅を広げる工夫だと考えるとわかりやすいかもしれません。言い換えの例を並べてみます。

ゆるめる前の考えゆるめた見方
また失敗してしまった試したから、わかったことがある
心配性で疲れる慎重に備えられる面もある
断られた=必要とされていないタイミングが合わなかっただけかもしれない
全部中途半端だ複数のことに同時に取り組めている

ここでも、無理に良い面を探して自分を励ますのではなく、事実に照らして納得できる範囲で見方を足していくことが大切です。しっくりこない言い換えは、無理に採用しなくて構いません。

うまくいかないときは、どう考える?

最後に、思うようにゆるめられないときの捉え方をお伝えします。問い直してもすぐに気持ちが軽くならなかったり、つい元の考えに戻ってしまったりするのは、ごく自然なことです。長く慣れ親しんだ考え方は、一度では変わりません。

  • すぐに変わらなくても、気づけたこと自体が前進と捉える
  • 「ちゃんとゆるめなきゃ」と気負わない(それも一つのクセかもしれません)
  • 完璧にやろうとせず、書き出す日を少しずつ増やしていく
  • つらさが強い・長く続くときは、専門機関への相談も大切にする

認知の歪みをゆるめる練習は、自分を採点するためのものではなく、自分をラクにするためのものです。働く人のセルフケアについては、厚生労働省のこころの耳でも情報が公開されています。うまくいかない日があっても、やさしいきもちで続けてみてください。

よくある質問

考え方のクセは、ゆるめればなくなりますか?
なくすことを目的にしなくて大丈夫です。考え方のクセは、疲れているときやストレスが強いときに誰にでも出てくる自然なものです。めざすのは、消すことではなく、極端になりすぎていないかに気づいて選択肢を増やし、扱いやすくしていくことです。クセそのものが残っていても、ラクに付き合えれば十分です。
別の見方を探すと、自分に嘘をついている気がします。
無理にポジティブに言い換える必要はありません。大切なのは、明るい考えに置き換えることではなく、事実に照らして「より現実に近い、ほどよい見方」を探すことです。根拠と合わない事実の両方を見ていくと、自分でも納得しやすい見方にたどり着きやすくなります。
問い直しても、気持ちがすぐには変わりません。
それは自然なことです。考え方の練習は、すぐに気分が大きく変わるものというより、少しずつ積み重ねていくものです。「また極端に考えていたな」と気づけた時点で、すでに一歩進んでいます。焦らず、書き出しながら繰り返していくうちに、扱いやすくなっていきます。

次にできること

参考・出典

  1. 国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター
  2. 厚生労働省 こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト

※ 本記事はセルフケア・教育を目的とした情報であり、特定の疾患の診断・治療を目的としたものではありません。つらさが強い・長く続く場合は、無理をせず医療機関や専門家への相談もご検討ください。